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ルルドの泉
ある日から体が急激に腐るようになった。それはほとんど死臭と言われるものを発していた。人々が誰しも恐れる死臭。一生に一度も嗅いだことのない人がほとんどだろう。 致死率も高かった。顔も体も身の毛もよだつほどボロボロになり皮が垂れ下がっていた。この恐るべき感染症は空気感染する。ワクチンをワクチンをと人は争って競争していた。だがワクチンで治るはずがなかった。ウィルスではなかったからだ。人類がかつて遭遇しなかった原因不明の病気は人々の生活を一変させた。接触不可能なため、生き残っている人は完全防護だった。だが防護服の中は凄まじい死臭で満ちていた。 恋愛も夫婦関係も破綻した。お互いの死臭でたまらなかったからだ。人々を接触不能にし隔離している様は50年前のコロナ騒動を思い起こさせた。あのコロナは今から見ると序章みたいなものだった。病院は人で溢れ、90%以上の人が感染した。都会は死臭で溢れメメント・モリを思い起こさせた。美しいという表現は言葉から消えた。夏のむせかえる日には死臭がムンムンとした。社会は機能しなくなり、略奪行為、暴行行為は当たり前になった。もう世界はこれで滅びると思われた。強い死臭を放っている人は1、2日で死ぬ。早期の人も進行が早く4日と持たなかった。このウイルスでも細菌でもない未知のものは一体何なのか。この危機を救うにはどうしたらいいか。 これは地球上のものではなかった。しかも意思があるように脅迫犯から重症化させ数時間で殺した。聖職者は比較的に感染が緩かったし劇症にはならなかった。このことを情報で知った群衆が教会に溢れかえった。世界は滅びるしかなかった。やがて全ての人が感染し死んでいった。だがあるほんの限られた50メートル四方の人がこの病気から免れていた。理由は全く分からなかった。人々はノアの方舟を思い起こした。ここに人が殺到することはなかった。30メートル以内に近づくと必ず死んだ。だから人の壁が堆くできていた。それから1年が経った頃、世界から悪夢が去った。 感染していないごく少数の人たちが再びゼロから世界を創造するようになった。だがいまだに不思議は残る。なぜ50メートル四方の人は感染を免れたか。そこから湧く水はルルドの泉のように人に奇跡を起こさせる要素があった。それを解明する日は絶対に来ない。なぜならばその水には純潔な精神が溶け込んでいたからだ。現代では精神など地に落ちている。だが人間は肉体と精神からできている。精神が下劣になり醜悪になった時、均衡は崩れ、世界は破滅するだろう。
ルルドの泉 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 741.0
お気に入り数: 0
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ポイント数 : 0
作成日時 2022-04-03
コメント日時 2022-04-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
脅迫犯は誤りで「凶悪犯」が正しいです。
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