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言論の泉
本来地中に纏まることなく息もないかのように 形も成さず潜んでいつか地上に湧き出る時を待つ 荒々しいままの もしかすると汚く濁った 水とも呼べぬような水がある 僕らにそれは見えないはずであるし 見てはならない秘密であるかもしれない 僕らが出会うことができるのは 滾々と水が湧き出る澄明な泉である そしてやがて僕らの胸のうちにも 新しい小さな泉が音もなく湧き始める 泉の秘密を知りたい 子どもも大人も指で泉を掘る 掘っても掘っても透明な水は湧き続ける 泉に秘密などないかのように そこへ重機が来て 山や森をそっくり除去してしまった 僕らの心はこの風景と違わない 僕らの言うことはこの風景と違わない 泉はもうないし その秘密さえもうない 秘密なき言論 地中深くで準備されない言論 これが今の僕らの言論だ
言論の泉 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1250.3
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2022-03-09
コメント日時 2022-03-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
yasu.naさんの作品にコメントするのは、文学極道も含めて初めてだと思いますが、この作品、いいですね。メッセージ性がある作品は、判りやすさが時にダメにすると思うんですよ。なぜならば、何らかの気持ちを言語化され、作品にする時、そのテキストで語れない非言語な気持ちが大きくあるから。その非言語な域がこの作品から感じられ、僕はいいと思いました。
1お読み下さりありがとうございます。私の作品への初めてのコメントであるのですね。ありがとうございます。 この作に書いたことは新しいことではないと思いますが、何度でも顧みられるべきことだと思います。問題は、どう書くかということになると思います。作者が持っていなければならないのはメッセージだけでは不十分であるようです。必要なのは、それこそこの作に描いたところの地中深くに準備された秘密であると思います。たぶん、これが「非言語な域」であると思います。
0こんばんは。この作品は好みの作品でした。 最終連の表現が詩的です。 私なんて軽薄で付け焼刃的でネットで数時間検索しただけで理解完了してしまう。。 私にとっては秘密のない文章って字数額面以上の価値がなくて、 つまりそれって何かを変えることはできないと思うんですよね。 なぜならたちまち忘れちゃうからです。 なんで私たちが何かを変えなきゃいけないかというと、なんとなく、 そうしないと大切なものを大切なままにしておけなくなってしまうと思うからです。 私は勝手な人間だから、そういうことを考えたことがない人たちは、 きっと恵まれた人なんじゃない、とサツバツサツバツになっちゃいますね。。 秘密は別に大きな秘密でなくてよくて たとえばエッセー風に語った最後の最後の余韻とかも良いですよね。
1コメントありがとうございます。今作、およそ何かを書く人間どもにあてたメッセージ詩です。自身のうちにある山や森を大切にすることを常に忘れないで欲しいものです。だいたいの人はそれができているとは感じますが、時々、口さがない言論、短気な言論を見かけるので書きました。 私の勝手かもしれませんが、私が本当に読みたいのは「作品」であって「おしゃべり」ではないのです。おしゃべりは確かにスピーディーに何かを実らせることがあるかもしれない。でも、根の浅い雑草のようなもの。有害であり得るし、引っこ抜くのは簡単です。「作品」は汲んでも汲んでも尽きない泉。そしていすきさんが言われるように、何かを変え「続ける」ことでしょう。そうですね、大切なものがいよいよ大切なものとしてあり続けるように。 書くということは、誰にでもできる、幅の広いことです。でも、良く書くことは、遠い遠い所にあると思われます。
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