青い夜の夢 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

青い夜の夢    

*眠り* 揚羽蝶のさなぎを見たことがあるかい 人が過ぎ去った昔を想うとき 蝶の幼虫はその想いを宿したさなぎになる 畑の野菜に水をやり 土をたがやす 食事を用意して 朝からの出来事を話すとき 貴女の目はまっすぐにわたしを見ている 眠りにはいる前のひととき 貴女は蝶のことを想うという 花の蜜と水だけを吸って 空に浮くように 雲になり ちいさなベッドのなかで 目をとじるのだろう 光りの洪水が行き過ぎれば 鱗粉のタペストリーとなって レム睡眠の森のなかで 清流の樹々と手をつなぐ 濡れた枝のあいだにとまり まばゆくひかりながら *青い夜の夢* 月の樹が花を咲かせる夜 青いビロードの服を着たわたしは ひかりの人魚のような貴女の手をとり 大麦の葉がしげる畑をこえ 銀色の靴で夜空を飛ぶ 荒地の一軒家は明るい 白くて長い手袋をした貴女も 友人である七面鳥と握手をする (ごきげんよう (これからもよろしくね バイオリンの演奏にあわせて 七面鳥が陽気にうたう 夜の小さな結婚式は 薔薇を手にした客でいっぱいになった わたしは貴女の手をとり 牡牛座のちかくで小船に乗る 静かな青い湖 貴女は星をいくつも集めて小瓶に詰める きっと朝になれば 瓶の中の星は見えなくなっているだろう 貴女も 夢の中でのわたしを忘れ去るのだから *幻影* 夜の書斎で 机を照らすひかりのなか 揚羽蝶の残像が 風に舞う花びらのように揺れ 翅を ぱたぱたとさせていた どこかへ行きたいのだろうか わたしにはわかる 行きたいところがあるわけではない 生れてきたものはみな きっと 自由になりたいのだろう ナツメヤシの実を齧りながら 古い本のページをめくる 幻影の蝶が飛ぶゆくえには 目を閉じずとも わたしたちの若かった日がある どんな場所に向かったとしても 後悔などないように 今を生きる命をむだにはしない


青い夜の夢 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 7
P V 数 : 1382.5
お気に入り数: 1
投票数   : 1
ポイント数 : 12

作成日時 2022-03-07
コメント日時 2022-03-11
#現代詩
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性77
前衛性00
可読性11
エンタメ22
技巧11
音韻11
構成00
総合ポイント1212
 平均値  中央値 
叙情性3.53.5
前衛性00
可読性0.50.5
 エンタメ11
技巧0.50.5
音韻0.50.5
構成00
総合66
閲覧指数:1382.5
2025/04/10 07時05分18秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

青い夜の夢 コメントセクション

コメント数(7)
三浦果実
作品へ
(2022-03-07)

たしかに、深尾さん、これはいいですよ。以前に「三浦さん、あたしは深尾さんの作風がじつは好きなんですよね」と打ち明けてきた女子がいたが、この作品なら、私にもわかる。

1
北川 聖「やすらぎの苑」発売中
作品へ
(2022-03-08)

こんにちは 想像力の豊かさに驚きました。私には難解さのスレスレのところにあると感じました。これが現代詩なのでしょうね。分析をしようにもそれを拒む詩のように感じました。おそらくこれは理解する詩ではなく味わう詩だと感じました。

1
ふかお
さんへ
(2022-03-08)

お読みくださりありがとうございます。 秀作とのお褒めの言葉をいただき、嬉しく思います。 *青い夜の夢*はシャガールの絵画を見たあとに書き上げました。 純粋に鑑賞するために再読したくなるとのこと。創作の冥利に尽きることで、お気持ちに深く感謝いたします。

0
ふかお
三浦果実さんへ
(2022-03-08)

お読みくださりありがとうございます。 三浦さんから初めて詩を褒められました。とても嬉しく思います。詩を続けていて良かったです。 三浦さんからお褒めのコメントをいただいた昨晩、地震がありました。震度2だったようです。本当です。

0
ふかお
北川 聖「やすらぎの苑」発売中さんへ
(2022-03-08)

お読みくださりありがとうございます。 想像力の豊かさをお感じいただいたとのこと。そして難解であったとのこと。難解であることは意図しておりませんでしたので、ご意見、今後の課題といたします。 私は詩を作る際に、映像的になるよう心掛けています。確かに論理性に欠けるかも知れません。

0
内海拓郎
作品へ
(2022-03-11)

映像と物語が浮かび、奥行きと広がりを感じる、味わい深い詩だと思いました。 夜、静かな時間に読み返したいです。

1
ふかお
内海拓郎さんへ
(2022-03-11)

お読みくださりありがとうございます。 味わい深い詩とのこと。とても嬉しく思います。 詩を読み返してもらえるのは、作者にとって幸せなことです。また、このような詩を書いてみたいと思いました。

1

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 1