からのながれ - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

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きょこち(久遠恭子)

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からのながれ    

実家の近くを流れる川には水がない 水がないから川ではなくからと呼ぶ なんでも大昔に 偉いお坊さんが治水工事のために作ったらしいのだ そのことを小学校の授業で習ってからずっと覚えている 雨の日には山から水が流れてきて からは川になる それ以外はほとんど水のない川だけど からの流れが見えることがある どこから流れてきたのだろう 川底にたまった土や石ころを すいすい避けて 季節ごとの風に乗り からは流れる 伸び放題の雑草がからに道をゆずる 土手道を散歩する人たちが からの流れに目もくれないのは あまりにもからが威風堂々と流れるからだろう だからきっと 誰もがこのからっぽの川のことを ちゃんと川だと思うのだ



からのながれ ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 8
P V 数 : 1542.9
お気に入り数: 2
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2022-03-02
コメント日時 2022-03-06
#現代詩 #ビーレビ杯不参加 #縦書き
項目全期間(2024/11/21現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
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閲覧指数:1542.9
2024/11/21 23時13分13秒現在
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    作品に書かれた推薦文

からのながれ コメントセクション

コメント数(8)
三浦果実
作品へ
(2022-03-02)

ほんとは他人様の作品に良いも悪いも優劣なんてものもないと思うんですよ。ただ私にはどうしても、みえてしまう。たとえば、「川をみた」とただただ書けばいいのに、「陽を浴びて美しく輝く川をみた」と書いたりする。これを以前から私は「あざとい」と、いろんな作品に対して評してきた。ほんとに美しい生き方をある種の強さを持って全うしようとしてる人は美しいことが当たり前に自分の営みに備わっているから、当たり前なことは書かない。ただ「川をみた」と書く。私にはどうしても、そのような人の欺瞞さがみえてしまって。(すみません超能力ホルダーなんで) テキストで作者の人物像は判らないという方がいらっしゃいますが、テキストにはその人が必ず宿っていますよね。きっと詩は特にそれが出るんだと思うんです。 前置きが長くなってしまいましたが、この作品からはその当たり前ではないところのことを書かれてあると、とても美しく、一読して感じた。それは表現しようとされているところのことが「テキストの詩」でしかなし得ない必然さを持っているからだと思う。 >伸び放題の雑草がからに道をゆずる >土手道を散歩する人たちが >からの流れに目もくれないのは >あまりにもからが威風堂々と流れるからだろう これなんかすごいですよね。テキスト表現でしかあり得ないと思うんです。伸び放題の雑草を映像化出来ても、土手道を散歩する人たちを映像化出来ても、威風堂々の曲を流しても、読者が受け取り想像するであろう「からが威風堂々と流れる」の様はテキストからしか生まれないと思う。 よくできました。

1
入間しゅか
入間しゅか
三浦果実さんへ
(2022-03-03)

読んでくださりありがとうございます。 いやぁ、すごい。前置きの文章がとても勉強になるなぁと思いました。この「あざとい」って気づかずにやっちゃってる人多いと思うし、僕自身もそういうあざとい詩を量産してきたと思う。ウケ狙いでエモめな言葉やおかしな言葉を使ってきた身としては「欺瞞」って言葉に刺さるものがありました。 前置きの話はこれくらいにしておいて、作品について。このコメントで「テキストの詩」という考え方自体がぼくにはごっそり抜けてたなと思いました。 今作は今までウケ狙いで書いてたのをやめて自作と向き合おうという気持ちで書きました。向き合うために手っ取り早くビーレビ杯不参加なのです。だから、余計な飾りのない言葉を探して書きました。結果意図せず三浦さんのおっしゃる「あざとさ」のない作品になったと思います。 「テキストの詩」という観点は今後書く上で追求していこう思います。褒めていただいた上に、勉強になるコメントで大変嬉しく思います。

0
かずや
かずや
作品へ
(2022-03-03)

好きです。 「どうやって投票するんだっけ」と思いながらコメント欄を開きました。 三浦果実さんの書かれていること、面白い指摘だなと感じます。 そして気を付けてみたいなとも。 しかしながら「あざとさのない表現」や「テキストでしか書き得ないこと」にこだわる必要もないのではないかとも思います。 ただ、「からが威風堂々と流れる」というところでゾクっと来たのは疑いようのない事実。 技巧的もさることながら結果としてそうなっているということに凄みを感じます。 そして三浦果実さん、改めてコメントされているのを見直しましたがこの人凄いなと。 逃げてないのですよね。 「お前はどうなんだ。」と問われれば素直に下を向いて赤くなります。

1
入間しゅか
入間しゅか
かずやさんへ
(2022-03-04)

読んでくださりありがとうございます! ゾクッと来たっていってもらえて嬉しいです!凄みも感じてもらえてよかったです! そうですね、あざとさのない表現やテキストの詩というのは詩をみるときの観点の一つで、究極は自分の言葉との向き合い方なんだと思います。わかったようなことを言いましたが ぼくも「お前はどうなんだ」と問われるとまだまだ未熟者なので、俯くしかできません。

1
めりい
作品へ
(2022-03-05)

水がないからから、いいですね。 水がないのに川になるんですね。 季節ごとというところが時間の流れをあらわしているようで すきです。

1
田中宏輔
田中宏輔
作品へ
(2022-03-06)

誰もがこのからっぽの川のことを ちゃんと川だと思うのだ 整合性のある作品だと思いました。

1
入間しゅか
入間しゅか
めりいさんへ
(2022-03-06)

読んでくださりありがとうございます!すきと言ってもらえて嬉しいです。ありがとうございます。

0
入間しゅか
入間しゅか
田中宏輔さんへ
(2022-03-06)

読んでくださりありがとうございます。 整合性のあるといってもらえてよかったです。 ありがとうございます。

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