国際線に迫る夕暮れ
傾いたフレームの中にいた
ああとってもこんなに有名、なのに
一文字ずれただけ
全部無名になるのね
オフィスラブがお誂え向き
話し相手は個室の画面
要望多数で抽選へ
我思う故、間に合いますか?
歴史に残りたいので
どうかひとつ
合成樹脂の有り余る銀
小皺の増えた両の手で
そのまま冷たい病院へ
不穏な空気に苛まれ
どうしてそこまで我慢して、と
貴方も同じこと聞いた
滑走路の中央、深い緑が降り立って
いっそこちらからお出迎え
搭乗口の段差を気遣う
ねえ宗教みたいに美しかったよ
もう二度とは見れないよ
このまま帰る一人を待って
降り出しそうな雨を跨いで
臨海線を包み込む
髪に中指潜り込ませて
雲間に沈むクラクション
寄せては返す福音の
一度は翼だったもの
信じてたよ
信じてたよ
何度でも言うよ
今も信じるよ
ビニール傘の弾く光に
瞬きもせず集めた夜の
終日カウンセリングの行列
それぞれ一度きりなんだから
あんなに見せたかったもの
鳴らす
叫ぶみたいに
鳴らす
幾度も、な
鳴らす
それだけじゃない
きっと何年経ったとしても
敗れた天使がすぐ側にいる
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 1128.4
お気に入り数: 0
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作成日時 2022-02-15
コメント日時 2022-02-24
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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閲覧指数:1128.4
2024/11/21 22時51分12秒現在
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クオリティが高いのになぜコメントがついてないなのか、と考えていたのですが。この詩。リズム、抑揚、「敗れた天使」というパワーフレーズに持っていくまでの流れに、どこか既視感を覚えてしまう。そのせいかなと。凄く手慣れて優れた書き手さんだと思うし、僕はそう認識しています。ただこの詩においてはひょっとしたら手癖のような、比較的イージーな書き方があったのかもしれません。オフィスラブがお誂え向きというフレーズに代表されるように。ただ、この詩僕は好きです。上手いと思うし、決して悪くはない。だけどこれは僕もかえりみないといけないのですが、それだけでは「届かない」場合もあるのだな、と。そう思いました。
0歴史に残りたいと言う望み。滑走路の中央や、搭乗口の段差。宗教みたいな美しさ。信仰が走っていると思いました。不可能に対する意識。全力疾走でフルマラソンを走るみたいな。敗れた天使は胸像になっているのかもしれません。
0妻咲邦香作品とは器用さにあるのだと思う。どんな作風でも一定の上手さを持って書けてしまう。それを象徴している作品に読めてしまう。ポップな筆致とそれなりの現代詩らしい読解力を読者にもとめるレトリックが混在している。先にどんな作風でも書けてしまうと述べたけれども、おそらくは書けないものが一つだけある。それは憶測でしかないので、ここでは触れないけれども、その書けない一つの作風を今作にある器用さが逆説的に示していて、興味深い作品だった。
0ありがとうございます。手癖のようなものは実はちょっと前から自分でも気になっていて、なんとかそれを上手く料理出来る方法はないものかといろいろ試してる最中なんです。今回の詩?はいわばそれを踏まえた上でのお遊びでもあるんですが、まず効果をある程度確信した上で、寸止めみたいなことをやって思い切り気持ち悪く出来ないだろうかと、別の表現で言えば、全く違う毛色の幽霊を同じ場所に二人立たせられないかと、そう思いまして。いやそれなりに面白かったです。 手癖は同時に長所でもあるので、そのメリットを失くさないように、でも依存しないようにしなくては、ですね。
0ありがとうございます。ただ単に読み手の想像に任せる、というのではなく、いかにミスリード出来るか、何というか、どうしようもない後味の悪さみたいなのが残ればなあと思って書きました。歴史、宗教、段差、そういった言葉を選んだのもあまり近くにいて欲しくないヤバい雰囲気をどうやったら出せるかという、でも全力疾走というイメージは意外ですね。むしろ何かに憑りつかれてる感じかなあと思います。
0ありがとうございます。器用さですか。。おそらく三浦さんがそう感じられるのは、私がここ最近のビーレビに於いてはくだらないお遊び、実験に徹しているからだと思われます。もし本気で書いたら私がいかに下手くそかであるかがはっきりわかります。その証拠に本気で書いているフィールドでは一部を除いてちゃんと評価された試しがありません。 ちなみに私の書けないものは思い付くだけでもかなりあります。まず散文詩が書けない、視覚的なレイアウト詩が書けない、私的な抒情詩が書けない、論理的な詩が書けない、書けないものだらけです。まあなんか浮きまくってる面白さっていうのがちょっとはあるから良いのですが。。。
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