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song
かつて花が降っていた隙間をのぞいたら、青空。 雲が流れていった。 許可証を付けて入った大学図書館の 五階からグラウンドを眺める。 学生たちが走ってた。 晴れてるけど低気圧だから頭痛。 子どもの頃からスポーツは 遠くから眺めるもの。 昨日は近所で祭りがあったが 神輿を担ぐ人々の群れも 遠まきに眺めるものだった。 というか、ほとんどすべてがそうだった。 けど今日は かれに秘密でここに来た。 近くにいるために。 人を好きになったときはいつも目の裏で その人の残像がずっとひらひらしている。
song ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 813.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-11-01
コメント日時 2017-11-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「それ自体はややもたつき感もある一文からの転調」という花緒さんのコメントがありますが、やはりそこに眼が止まりますね。 〈かつて花が降っていた隙間〉春の花吹雪、大学の図書館、そこには〈かれ〉の残像がある、のか。 花が降っていた、卒業の時期の大学、を連想しました。 もうすでに、大学を卒業して何年にもなるのに、そっと大学図書館に戻って来る、というシチュエーションでしょうか。〈神輿〉晴れてるけれど低気圧、とあるから、秋祭りの頃か・・・。 感慨を軽めに歌った唄、という印象を受けました。
0遠くから見たら小さな穴でしかないけれど、その小さな穴を近くから覗いてみたら、その奥に別の世界が広がっていた、そんな出だしだと感じました。 その「距離感」≒「遠近法」ということが、この作品を通底しているテーマで、5階からグラウンドを眺めるという具体的な描写によって導かれた「子どもの頃からスポーツは/遠くから眺めるもの」という語り手なりの定義。祭りでの神輿もまた同様に。 そうした一つ一つの出来事を眺めているだけの存在として語り手があり、「ほとんどすべてがそうだった。」という。 それでも、この作品はその定義が導き出されて終わるのではなく、「かれに秘密でここに来た。/近くにいるために。」と自らの意志によって、きみという対象に近づこうとしているのです。近づきたいという欲望によって、そうした行動を起こしながらも、いつもいつも遠まきで眺めてしまう。 最後の二行はただの甘い表現ではなく、やはりこの作品を通底していると思われる「距離感」「遠近法」という点において、語り手が「近づきたいけれど、眺めてしまう」という逃れられない性分を持ちながらも、「目の裏」という視覚を司る器官に最も近い場所にいつもその人がいるということ。「目の裏」を目で見ることはできないですが、「その人の残像」は目に最も近い場所で保たれてしまうという、ああ、なるほどなあ、と思わされました。
0花緒さま、まりもさま、なかたつさま。読んでくださって感謝です。返信遅れて申し訳ありません。 まりもさまの読みが図星で、驚かされます。なかなつさまの読みは(皮肉ではなく)新鮮で、なるほどなと思わされました。ありがとうございました。
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