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ケロイドと十二月
死にかけのネオン管の音を、雑踏がぐしゃぐしゃに塗りつぶす。 イルミネーションだけが伽藍堂を輝かせる。 高層ビルが立ち並ぶのは、心のかたちと似ています。 隙間風が冷たい。二十一歳大学生の手も、冷たい。 名前を知らないその人。 無機質に見えますね。 目鼻立ちも、声も、人だってことを示す為だけの記号みたい。 拝啓、親愛なる先生へ みんなまだ半月もあるのにクリスマスの話ばかりしていて、 気の早いサンタクロースの手紙は空を埋め尽くしています。 煙突の代わりにパラボラアンテナ。温もりは即日配送。 きみは孤独だねって、人混みの囁きが痛いよ。 「あいしています」は、何時だって無責任だよね、先生もそう思う? 先生、五分で出来るラブロマンスと、カップラーメンでは、どちらの方が有意義なんでしょうか。 愛で腹は満たせないって、じゃあ腹を満たせば愛されるんですか? 天井のシミは数える程無くて、シーツのシワを数えていたら夜が明けそうだった。 知らない部屋の匂いなんかしなくて、獣みたいに、汗ばんだ肌が気持ち悪い。 二匹、傷口を埋め合うみたいに。 裂けた傷口を数えていたらいつのまにか、こんな大人になってしまいました。 先生、センチメンタルは、えらい顔をした大人たちに笑われなきゃならないのですか。 先生、あたし、十二月が嫌いです。
ケロイドと十二月 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1124.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2022-01-29
コメント日時 2022-02-23
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 2 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
都会の喧騒から遊離したような人物が書かれています。手紙の形式で空虚なこころが表現されています。
0批評精神の強い詩だと思いました。やはり先生を相手にしているからでしょうか。普段の生活、バーナルな日々。愛とお腹いっぱい。愛は包括的な概念なので、お腹いっぱいでもやはり愛は満たせない可能性の方が高い、なので無責任な言い方だと非難していると思うのですが、「あいしています」と言う言い方に対して。最後のフレーズが、何か不気味です。もちろんいい意味で、です。言いさし、それこそ、途中で終わっているような印象で、続きが示唆されていると思うからです。
0都会から遊離したようで、本当は一番都会と雑踏に溶けているんだとおもいます。コメントありがとうございます。
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