〈安閑夜話〉 運転手からの電話
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吾輩は犬である！
吾輩は犬である。書するところ吾輩の文字に不可能という文字はない。 愛玩種として育てられたからであろうか、人間の心がミョーに見えるのである。 吾輩の家族構成は吾輩をこよなく愛してくれる一家の大黒柱である主人と手のこんだ食事を作る主人の妻、聡明である主人の長男である息子、そして吾輩の点滴、いや天敵と言えるどうしよもない滑稽な次男である。 この次男である息子を毎日様子を窺っておると、ピアノなる楽器日がな一日弾いておる。 この次男坊の弾く、何だかわからない不協和音は、吾輩の地域の犬連合組合の犬達で構成した仲間達の中でも定期集会で問題になっておる。当然ながら犬連合組合の犬達の飼い主達もそとまで響くこのピアノなる楽器の酷い音響に迷惑だと各々家庭でぶつくさ文句を言っているらしいが、吾輩の鋭敏な観察力を持ってしてみると、人間なる「人」はどんな時にも支え合って生きる習慣があるようで、とかくこの地域だけでなく、吾輩の住む日本なるこの国は「和」を重んじる事が多かれ少なかれあり、多少の事は目を瞑る自利利他なる、思いやりの精神があるように窺えるのである。しかしである、犬なる吾輩は血統書付き言うのもある上、人間の「人」とは違い、嗅覚、視覚、特に聴覚は鋭敏であり、この令和の不況にあえぐ地域社会でこの「不況和 音」いや「不協和音」に我慢するのは耐え難い苦痛を伴うのである。これで前述に記述した、次男坊が吾輩の天敵であり物言わぬ吾輩はこの息子の近所迷惑、ハタ迷惑なピアノに 「ジャジャジャジャーン」にうんこは垂れてもへこたれずに堪える「運命」の渦中なのである。一家の大黒柱の主人はこの息子の放蕩息子ぶりに「煮ても焼いても食えない」と言っているが吾輩が思うに食べたら腹を下しそうな気がしてならぬ。地域で構成している犬連合組合でもノイローゼで動物病院に運ばれる繊細なる同士もおり、「決起集会を！」と 血の気の荒い犬どもおり、吾輩は組合員として立場がないのである。不可能と言う文字はないと書した吾輩であるが、近くの教会に駆け込み重荷を軽くしてもらおうと、牧師に相談し訴えたが、牧師は『すべて生ける者に連なる者には望みがある、生ける犬は死せる獅子に勝るからである（旧約聖書、伝道の書第九章四節）』と韓国系の血筋である「ワン牧師」から有り難い御言葉を戴いた。 訳せば「生きている以上、お互いに繋がっている者は幸いだ。どんな情けない犬でも死んでしまったら元も子もない、凶暴でも死んだ獅子より生きている犬のほうがよっぽど尊く勝っている」と言うワン牧師から説教を受けた。しかし！である情けないのは吾輩達犬であろうか？情けないのは世間知らず、で社会で織の合わない独りよがりなピアノなる楽器で不協和音を鳴らし続けている放蕩息子の次男坊ではあるまいか。この次男坊にこの御言葉を何らかの手段で教えれば「煮ても焼いても食えない」と嘆いていた主人であるが少しは謙虚になり、串焼きにしても食える人間になるであろうと淡い期待をしている吾輩なのである。いずれにしろ人間にしても犬にしても世知辛い世の中。思いやりのある地域社会造りをと望む吾輩であった。 令和三年師走 主人の懐にて
吾輩は犬である！ ポイントセクション
作品データ
Ｐ Ｖ 数 ： 1408.5
お気に入り数： 1
投票数 ： 1
ポイント数 ： 0
作成日時 2021-12-27
コメント日時 2021-12-28
| 項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
昨年なくなった飼っていた犬を思い作品にしました。とても頭が良く可愛いいトイプードルでした。トイプードルから観た世界観はどんなものだろうかと想像を巡らし描いてみました。 読んでくだされば幸いです。
0筆力、話しの面白さ充分と思います。とにかく、良い。何がどう良いとか、そんなんどーでも良い。 この作品には、こざかしい批評なんて、要らないと、私は思いましたよ。有名な某作品思い出すけど、ケチつける気にはなれません。 読んでいて、肩肘張らないで居られる脱力感も感じますし、楽しめる。 …何か褒め過ぎな様な気もするけど。難しい事は書けんし、率直な感想。笑
1コメントありがとうございます！作品を褒めていただきとても嬉しいです！これでなくなった、愛犬のトイプードルも、報われます。きっと天国に行く準備をするでしょう！ 本当にありがとね！
1漱石の吾輩は猫であるを思い出すのですが、内容は全然違うようです。でも人間世界を冷めた目で批評的に見て居る所や猫ではなくて、犬であるところが相違点ですね。聖書の文句とか印象的でした。放蕩息子のくだりも聖書の事が念頭に有ったのかもしれません。
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