終着駅 - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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終着駅    

噂話が途切れる前に、 まだ人が少しでも僕に関心を持っている間に、 僕は手紙を遺して教室をあとにした。 誰もが眉をひそめ、陰口さえ叩いたけれど、 漠然とした退屈に僕は耐えられなくなって、 結局すべての人とさよならしたんだ。 遠くへ目を見定めたカモメが横切っていく。 うす雲は喪失の一歩手前だ。 線路を走る列車はなくなって久しいし、 パパの殉教地は、とっくの昔に廃ビルとなってしまった。 手傘をさして仰いだ空は、 青だとか濃紺だとか言うには、 あまりに普通でありきたりで平凡で、 だからこそのたうち回るほどの、 苦しみを感じる。 もし満開のツバキが、 望まずして切り取られたとしても、 僕が願うのはただ、 僕自身の死でさえ、 ハッピーエンディングの伏線であること。 陽射しはひりつくのに生ぬるく、 恐ろしいほどの倦怠を僕に与えてくれる。 ゲームブック、落としたカード、USBメモリー、教科書、ノート、スケッチ、人狼、イヤホン、お守り、墓場。そしてスマホに書き残したメモさえ、既読をつけたまま放置されるメッセージの一つとなる。 今となっては、 そこに後悔はなく、あるのは歓喜。 生の歓びのみ。 雪溶け。 孤立した辺境にさえ、 僕が救いを見い出した時、 誰かが僕に耳打ちをする。 君は誘惑に絡めとられただけだって。 単にたぶらかされただけだって。 僕はそれでもかまわない。 着地点はひっそりと広がり、 地平線の遠景が、心地よく、 遠ざかる。



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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1299.1
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投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2021-12-22
コメント日時 2021-12-22
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/14現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:1299.1
2025/04/14 01時23分09秒現在
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