改札を通り、階段を登る。見慣れた風景。点字ブロックの内側を歩く。最寄りの階段に一番近い場所に並ぶ。僕はいつも、右側で、隣には背の高い女子高生。 (多分)僕の後ろを通った後に、背後で、つばを吐くクソジジイは、今朝もお元気なようだ。
電車に入る。今日も、最初から座れなっかたので、ドアの縁により掛かる。bluetooth の電源を入れる。作業用BGMを流す。一つ駅が過ぎ、二つ駅が過ぎていく。女子小学生二人組が酒やけのような声で、話しながら入ってくる。片方が振り返り母親らしき人物に手をふる。その間に、片割れが席によじ登る。片方が朝の儀式を終えたようで、走ってやってくるが、席が空いていないので、立っている。(いつも、彼女は、最初から座れていない。)小学生の間でも、秩序があるのかと、横目でそれを僕は凝視している。(俺は、ロリコンではない。何ならショタのほうが好きだ。)3つ目の駅で、やっと腰を下ろすことができた。例の少女も片割れの隣に鎮座することができたようだ。ポッケに手を突っ込んで、ジェフリー・アーチャーの最新作を取り出す。だが、非常に不思議なもの、開けた瞬間またお得意の人間観察に意識は戻っているのが常だ。4つ目の駅は、毎朝呆れるほど面白いことがない。明らかに、今さっき起きたであろう会社員と女子高生が何組かが入ってくる。女子高生の会話相手は、スマホに映る自分のようだ。
面白くないので、正面に座っている男性を見てみる。彼は、座るというより、椅子に支えられ頭をのけぞらせ様子で爆睡している。スマホを片手に持って足を投げ出している。これが社会人の末路なのかと思わせる大人であった。5つ目の駅に着く直前で、スマホが彼の手から滑り落ちた。ガコンと音をたてた。彼の隣の女性は、音に驚いたような感じで眉をあげたものの、拾う気配はなかった。明らかに、関わりたくなさそうだった。すると、ぬっと手が伸びてきたのである。その手はスマホを掴んだ。俺は反射的に、その人物を見た。正直に告白する。出で立ちは不審者のように見えた。体は、大柄で真っ黒のダウン(フード付き、被っていた)、黒のダボダボのズボンをはき、サングラスをつけていた。まさしく、学校で言うところの近づいてはならない人であった。これは、ヤバいパターンじゃないかと思っていると、その人物は、社会人の手をそっと触って、携帯を置いたのである。その後も彼は、降りるまで、社会人を見守っていた。当の、社会人は終点に行きつき、駅員さんにモーニングコールを頂戴していた。俺は、エスカレーターへの列に加わりながら自分を恥じた。bluetoothの電源を切る。改札を抜け、バスに乗り、坂を登ると、そこは学校であった。
作品データ
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作成日時 2021-12-21
コメント日時 2021-12-22
#現代詩
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2024/11/23 18時59分37秒現在
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