花粉の雪降るころ - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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花粉の雪降るころ    

愛も人も消えた街に 狭い額縁を提げて帰る 額縁には 海が寄せ引いていた      * 物語が造幣されるごとにおれは 挨拶の花を枯らしっちまう ひとの顔をうかがって生きるには おれには 社会や世知、慈悲心が欠如しているらしい おれの心はからっぽだ 父親が死んだ時にも 一滴の涙すら 流れなかった、 おれ自身の精神は 壊れたテープ・カセットの様に引き延ばされ、縮み上がって 歪んだ部屋の底で呻いていた 泣くこともできないやつは吠えることさえ侭ならない 今やことばすらも覚束ない 体たらく、だ おれやわたしやぼくにも見えるか 窓を仰げば 主観、という海が在って そこには何千何万もの物語が沈んでいる      * 早鐘、早鐘、心臓の音 街の中で窒息した わたしは病院に着く迄、誰の名前を呼んでたかしら、 電子書籍にはわたしたちの花が確かにそこに咲いてたのよ 打っ棄った同人会報のこと、覚えてるひとはいるかしら 話の花が散ったあとにも 皆みんな 生きていたのよ 雪は、そして溶けて 指は、そして繋がる 風は、そして到り 空は、そしてそらは そらの、まま        * ぼくには家族がいない 養護施設に引き取られた日にはわんわん泣いてた、 お母さん、ぼくを見捨てないでって 随分前の記憶だけれど そう、あの日 雪が降っていた むかえに来てくれるひとなんかいない、って思ってた 冷たくて、淋しかった そうしたら だれかがぼくの本当の名前を呼んでくれて 嬉しかったよ、だってぼくの名前そのものが呪いなんだって、 当たり前に思っていたから      * たとえだれもが赦されない罰を抱えていても それは生きている、ってことだから これ以上あなたを憎まないで あなたにいてほしい、 だから 心から この声がとどきますように、 愛してる、と



花粉の雪降るころ ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 1012.2
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2021-12-21
コメント日時 2021-12-23
#縦書き
項目全期間(2025/04/23現在)投稿後10日間
叙情性00
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閲覧指数:1012.2
2025/04/23 15時44分04秒現在
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    作品に書かれた推薦文

花粉の雪降るころ コメントセクション

コメント数(2)
ネン
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(2021-12-23)

許される日が来たら、 罪人だったひとは何になるんでしょうね。 何の為に生きるんだろう。 そんなことを考えました。

0
鷹枕可
ネンさんへ
(2021-12-23)

なんともはや。 批評の俎上に乗るにも及ばぬ、粗雑な駄作を投稿して仕舞いまして、允に申し訳ございません。 さぞ、評に窮をなされたことでございましょう。 ただ、若しも拙作を以てして。誰もが思い悩む生涯の意味、等を目に見遣る契機となさってくださいましたなら、幸いでございます。

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