愛も人も消えた街に
狭い額縁を提げて帰る
額縁には
海が寄せ引いていた
*
物語が造幣されるごとにおれは
挨拶の花を枯らしっちまう
ひとの顔をうかがって生きるには
おれには
社会や世知、慈悲心が欠如しているらしい
おれの心はからっぽだ
父親が死んだ時にも
一滴の涙すら
流れなかった、
おれ自身の精神は
壊れたテープ・カセットの様に引き延ばされ、縮み上がって
歪んだ部屋の底で呻いていた
泣くこともできないやつは吠えることさえ侭ならない
今やことばすらも覚束ない
体たらく、だ
おれやわたしやぼくにも見えるか
窓を仰げば
主観、という海が在って
そこには何千何万もの物語が沈んでいる
*
早鐘、早鐘、心臓の音
街の中で窒息した
わたしは病院に着く迄、誰の名前を呼んでたかしら、
電子書籍にはわたしたちの花が確かにそこに咲いてたのよ
打っ棄った同人会報のこと、覚えてるひとはいるかしら
話の花が散ったあとにも
皆みんな
生きていたのよ
雪は、そして溶けて
指は、そして繋がる
風は、そして到り
空は、そしてそらは
そらの、まま
*
ぼくには家族がいない
養護施設に引き取られた日にはわんわん泣いてた、
お母さん、ぼくを見捨てないでって
随分前の記憶だけれど
そう、あの日
雪が降っていた
むかえに来てくれるひとなんかいない、って思ってた
冷たくて、淋しかった
そうしたら
だれかがぼくの本当の名前を呼んでくれて
嬉しかったよ、だってぼくの名前そのものが呪いなんだって、
当たり前に思っていたから
*
たとえだれもが赦されない罰を抱えていても
それは生きている、ってことだから
これ以上あなたを憎まないで
あなたにいてほしい、
だから
心から
この声がとどきますように、
愛してる、と
作品データ
コメント数 : 2
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作成日時 2021-12-21
コメント日時 2021-12-23
#縦書き
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技巧 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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2024/11/21 23時37分26秒現在
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許される日が来たら、 罪人だったひとは何になるんでしょうね。 何の為に生きるんだろう。 そんなことを考えました。
0なんともはや。 批評の俎上に乗るにも及ばぬ、粗雑な駄作を投稿して仕舞いまして、允に申し訳ございません。 さぞ、評に窮をなされたことでございましょう。 ただ、若しも拙作を以てして。誰もが思い悩む生涯の意味、等を目に見遣る契機となさってくださいましたなら、幸いでございます。
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