限りあるところに、縮約形の我々が生きている
そうだ、奴らのことなど考えてはいられないのだ
毎朝無言で駅に集まる奴ら
昼になればコンビニに集まる奴ら
夜になれば何でも知っているようにしゃべる奴ら
奴らだって全員縮約形
寝ている間の余震には気がつかない
覚めて青空を見ようと、雨を見ようと
無言で駅に集まる奴ら
乗り物が行き交う
隣町の奴らのことなど気にしていられない
我々は全員縮約形
だって何か一つことに集中することが大事だから
時間も場所も限られている
世界を股に掛けて活躍している奴らは知っている
世界は十分に広いものだと
住居が幾つあろうと、職場が幾つあろうと
世界の「すべて」を手に入れることには程遠い
誰が「すべて」など得られるものか
過分なことに気を奪われるな
でも時々我々は
自分の手のひらからはみ出したものの幻を見る
そんなものを気にしてはいけない
そんなものを見ても口さがなくなるだけで
都合のいい幻想を吹聴するだけで
無辜の誰かを傷つけてしまう
縮約形であれ、人間よ
体が温かいうちは
体が冷たくなった時
いずれ我々は
「すべて」自体となるのだから
作品データ
コメント数 : 4
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作成日時 2021-12-08
コメント日時 2021-12-10
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 21 | 21 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 23 | 23 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 10.5 | 10.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 11.5 | 11.5 |
閲覧指数:941.8
2024/11/21 23時16分05秒現在
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好きな詩です。 この一言です。
1ありがとうございます。 私はけっこう「よそ見」をしてきた人間なのです。「だって何か一つことに集中することが大事だから」というところなどは、いろいろなことを中途半端にしてきて何のエキスパートでもない自分が駄目な人間だなと、反省と後悔をして出た言葉です。この作の内容のようなことを、学生時代に誰かに言ってもらいたかったです。
1縮約系という言葉の意味の形が少しずつ変わってるのが良いですね。最初は数名のグループ。縮約系がどんどん大きくなって、社会が回る。そして最期人類全てが終わった時に一つにまとまるという縮約が非常に美しくて好きです。
1お読み下さりありがとうございます。しかもけっこう詳しく。自分ではあんまり突っ込んで読まれるものではないかなと諦めに似た思いを持っていたので、うれしいです。個々の人間はめいめい自分の小さな世界に「すべて」を見て、それに集中して取り組むのがいい。実際そのようにしているものです。そのような人間の総体が世界です。自分だけで「すべて」などという怪物を追い求めないことが肝要です。そんなことはこの世の業務ではないですね。あの世でいずれ自然に為されることだと思っております。
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