えーと何処から話せば良いのか
スヌヌくんは我々の仲間であることには変わりがないんですけども
ただどれくらいの仲間であるかというとちょっと難しいんですよ
髪は黄色だし
下半身は斑だし
噛まれると痛いし
甲殻類のようでもあり
でも日本の政治には詳しいんです
彼は前置きが長いのを嫌ってて
掛け声と共に顔だけ出すんです
画面の端っこに置き物のように
南国出身らしく表情を殺すんです
表情を殺すって意味わかりますか?
目に光を灯さないってことなんですよ
余計解りにくいですよね?
とにかくそれがスヌヌくんなのです
「スヌヌ」と呼んでも構いません
あ、私だけはね
貴方が呼ぶと怒ります
彼はどうやら筒状のものにしか興味を抱かないようなのです
遺伝なのか習慣なのか
人参以上の太さのものは全て筒状と認識するのです
一見不便なように感じますが大丈夫
周波数の反射率を利用し、質量を数値として感じ取っているのです
いかにも彼らしいやり方
だからこそのスヌヌくんなのです
今はまだ話半分として聞いててください
大体の人は人生の三分の二ほど過ぎて彼の存在に気付くみたいです
私もそうでした
でも私の父は違います
父はなんと六歳で気付いたそうです
声はかなり低音です
落ち着いて喋ります
ゆっくりと飲み込むように
わかりますよね?
何となくでも
スヌヌくんだからです
彼にしか出せない波長があるのです
所謂スヌヌ波と呼ばれているものがそれです
少し歩きましょうか?
彼のことを考えながら
もしかしたら目の前に現れるかもしれません
まあ有り得ないですけと
ここは湿地帯じゃありませんから
スヌヌくん
少しはわかっていただけましたか?
貴方がね、普段召し上がってるものの中にも
ひょっとしたら使われているかもしれませんよ
冗談ですけど
スヌヌくんは我々の胃では消化出来ませんから
もう証明されてるんです
そういう研究結果が出てるんですよ
あ、見えて来ました
あの赤い柵の向こう側全てがスヌヌくんです
厳重に管理されているので大丈夫ですよ
そっと呼び掛けてみてください
此処から、そう
ス・ヌ・ヌ・くんって
何が出て来るかはわかりません
私も実物は見た事がないのです
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 1780.9
お気に入り数: 0
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作成日時 2021-12-04
コメント日時 2021-12-13
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 5 | 5 |
閲覧指数:1780.9
2024/11/21 23時20分20秒現在
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自分がスヌヌくんだったりしないかな、と思いました。 なんだかこういう扱いを受けているような気がします。
0芥川龍之介の河童的な不思議な生物を見ている感触になりました。スヌヌくん。私にも見えるようになるんですかね。楽しみです。もしかしたら後ろに居たりして。
0不可解なスヌヌくんに惹かれて読まされてしまいました。あたかも見てきたような語りのなかに正体が隠されていると思いきや最後まで謎のままで、奇妙な世界に立ち入ってしまったような感覚を愉しみました。 >私も実物は見た事がないのです というオチはない方が個人的には好みです。
0何度も読み返しました。 スヌヌくんって言葉が、頭から離れなくなりました。 あと、詩とは関係ないですが、ペンネームが印象的です!
01票ありがとうございます。まず読み手からの突っ込みありきというのはちょっとやってみたかったことで、そもそもこれを詩として扱って良いのかという・・・風変わりなショートショートみたいなものかもしれませんね。
0スヌヌくんはかなり雑な扱いを受けているようです。そういう運命なので仕方がないですが、自分がこんな扱いを受けたら悲しいですね。
0たぶん見えるようになったらろくなことにならないような気がしますね。たぶん、会ってしまったことを後悔します。なので気を付けた方がよろしいかと。。。
0そうですか、最後のオチはやり過ぎだったかもしれませんね。要するにどういうこと?という余韻を残したかったので。個人的な感想は大変参考になりますね。ありがとうございます。ちなみに本当のオチは書いてませんです。もうお気付きかもしれませんが。
1まず「スヌヌくん」という言葉が先に浮かんで、そこから書き始めました。この語感の収まりの悪さが自分でも気に入ってます。ペンネームはもう30年ぐらい使ってるものなんですが、絵本描いてる時はよく女性と間違われたのですが、詩の世界だとそういうことがあまりなくてホッとしています。ありがとうございます。
0コメントありがとうございます。設定や筋運びはそんなに奇抜なものじゃないと思うんですよね。わりとよくあるというか、ただ、たびたび全部ひっくり返すと言いますか、今までのことは何だったの?というような構造的な遊びはしたかったんです。『ズンドコベロンチョ』は知らないのですがなんか想像するに近い響きのようですね。
0この詩を読んでの私の感想です スヌヌくん良いですね。 谷山浩子の「まもるくん」という歌を連想しました。ああいった詞のわくわくする気持ちを感じました。
0「まもるくん」の歌も不思議で素敵な世界観ですよね。わくわくは特に今回は意識してませんでしたが、それって大事だな、忘れちゃいけないなと思いました。ありがとうございます。ちなみに谷山浩子は「MAY」が好きです。
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