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永遠への接吻
純粋な花々は死を感知しない。記憶を粉々にし船を沈めると、屍を啄む鳥は涙を流し、私はそれを彫刻にした。繊細な真夜中に涸れた湖と炎症する空があり、夢は喰われる。すると銀色の血の流れる胎児は宇宙の前髪を優しく切り、自らの心臓を突き刺した。 真空の翼を広げる鳥が壊れた鏡に映り、天使は遊行する。愛憎の闇にミルクを注ぎ、時の切っ先を装飾し永遠の中に潜む時の遺物を引きずると、黒々とした太陽は下りてきて、無数の火花が脈を打った。 永遠へ焦がれる鳥の留まる時期に、ハッカ飴を口に入れると星は弾けて散り散りになる。青いカーテンをひらひらさせ記憶は曖昧になり、凍結された夢は溶けて鳥は夜空へ飛び立ち、金切り声を上げ永遠を刻み満月は粉砕された。 ──この晩はフラスコの甘い季節であった。戸口に盗人が倒れていた。彼の掌は皺くちゃで宝石に溢れていた。私は彼を墓地に埋め鎮魂歌を歌う......。 永遠は死滅する太陽だ。解毒された永遠は常に死を呼称する。神は死に傀儡は破壊され、虹色の魚はコンクリートに溶け、羽の破れた蝶が空中を飛び、腐ったような硝子の豆は私たちを堕落させる。 冷たい風が書物を浚い猫の鼓膜は夜道に靡き、煙突を施錠し錦鯉が炸裂する時刻に永遠の接吻は行われ、死滅した運河は甦り、病んだ国の亡霊たちは神の瞼に揺られ実在を殺し尽くすのだ。
永遠への接吻 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1677.8
お気に入り数: 2
投票数 : 1
ポイント数 : 37
作成日時 2021-12-01
コメント日時 2022-01-15
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 1 |
前衛性 | 3 | 0 |
可読性 | 4 | 0 |
エンタメ | 4 | 0 |
技巧 | 12 | 2 |
音韻 | 4 | 1 |
構成 | 6 | 0 |
総合ポイント | 37 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 1.5 | 1.5 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 6 | 6 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 3 | 3 |
総合 | 18.5 | 18.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
心臓を差し出してもなお輝く美しさがあるのなら。そう思わせる息を飲むほどの緊張感のある散文詩。 善きかな。善きかな。
0解毒された永遠は常に死を呼称する。 ここ、いいなと思いました。
0自由自在な内容だと思いました。記憶を粉々にするとなぜ船が沈められるのかと言った疑問は愚問でしょうが、「ハッカ飴を口に入れると星は弾けて散り散りになる。」は飴=星見たいな発想なのでしょう。「永遠は死滅する太陽だ。」この表現はアイロニーであろうか、宇宙の永劫回帰であろうか、神は死に、魚がコンクリートに溶けたり、抑圧の開放が目的であろうかと、詩に目的を見出すのは愚策なのかもしれませんが、目的的なアプローチは意外とこの詩を読み解くキーとなるのかもしれません。
1恭子さんへ 心臓を差し出すつもりはありません、食われるなら体ごと。
1田中宏輔さんへ 言い切っているので、多少、不備はありますが、流れを押しとどめていないとは思います。
1Comoestanuquiさん ありがとうございます。
1目が悪くて、満月だったか分からなかったけど、月はね、今日も私達を照らしていましたよ。柳煙さん^_^♪ ちなみに太陽も私達を照らしています。
0返信遅くなり申し訳ない。自由自在な内容と言ってくださりありがとうございます。
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