彼はまんじりともせずに只管、眼前の闇を凝視す。
――何故か、《吾》が憤怒にあるのは!
さう自問せし彼は闇の《世界》を無性に握り潰したくて仕方がなかった。
――《世界》? 誰かに呉れちまえ!
《吾》ながら何故かをかしかったので、
思はず苦笑せし。
――かうして《吾》は滅んでゆくのか……。
彼はさう独り言ちて、
むんずと手を伸ばして
《世界》を握り潰せし。
そして、《世界》は憤怒の喚き声を発せし。
――何する《もの》ぞ。《世界》と呼ばれし《吾》は、お前なんぞに変へられてたまるか!
虚しき喚き声のみ残して《世界》は《存在》を始めてしまった。
その時、《世界》は一言呻いたのだ。
――あっ、しまった。
かうして《世界》は《存在》を始めたのだ。
しかし、未だに《宇宙》は誕生せず。
後は「神の一撃」で、
《宇宙》が始まるのを待つのみ。
しかし、《宇宙》は産まれたがらず。
而して《世界》は《宇宙》転変して開闢せし。
だが、再び、業の中に《世界》は堕ちし。
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 896.8
お気に入り数: 2
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2021-11-26
コメント日時 2021-11-30
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 23時26分14秒現在
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子供が世の中の認識不足を嘆いている様に見えます。根拠のない自信に対する葛藤を描いている様に。 私は、そう捉えますが故に、作風が少し大人過ぎじゃん!?…って、思います。 筆力が有ると思うだけに、その部分の隔たりに、少し違和感を覚えます。 しかし、この詩が何も評価されずに埋もれてしまうのは、絶対もったいないとも思うので、コメントさせてもらいました。(難しい批評は、私には無理なので…。)今後の投稿にも、期待しています。
1サイトの最初に出てくるサムネイル表示でパッと見た時、旧仮名遣いで厳つく上段から語る印象がして流してしまったのですが、面白く読みました。 これは逆に旧仮名遣いと厳つい語り口がベースになっているから愉快なんですね。さも高尚な問答をしているような語り口からの、 ――あっ、しまった。 これ、最高です。厳格さを装っているひとが突風にやられてカツラが外れてしまうような面白さがあって、価値の転倒のような味わいもあります。 読んでみるもんだなあ!
0古文のような文章かと思うと、普通の現代文、檄文、決起を促すような調子も有り、この宇宙のビッグバンは来たらず。神曲か、創成期を思わせる雰囲気もあると思いました。
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