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旅
それが無意味なものと知っても、僕はそれで埋め尽くす方法しか知らない ただ、ぼんやりとした思考の中にはっきりとした明朝体のナイフが浮かんでくるのを合図に、僕は名前のない感情と家を飛び出ることにしている ああ、それは冷たいLEDが白黒の街に吸い殻を残して逃げた10月の夜だ 拗ねたアイツの舌打ちが脳に繋がってハウリングを起こしてしまった帰り道でもあった 会津へと愚直に走る電車で、一人の少女と僕だけになった瞬間がある 景色の良さに絶望している自分と同じく、彼女もまた日々からの脱獄囚だった 味のないフルーツ味のキャンディーから、少しでも自分の好みなものを探し続けていた 気づけば、飯盛山へと続く大きな道を歩む この場所で人が沢山亡くなったと教えてくれた太陽は母の目と一緒の温かさだった この場所で人が沢山亡くなったと知った群衆は日常の視線と一緒の冷たさだった もっと大胆になれるんだと知った僕は やけに満足したまま茶色に染まった大通りに帰る 僕が山の中へと消えていった駅には もっと少しずつ速度を落としていってくれ 退屈になるだろうが、その先には何もなかった 全ては今通っている場所に微かに光っていた 少女と分け合っていたのは一缶のフルーツ飴だけじゃなかったんだ
旅 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1044.7
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 2
作成日時 2021-11-17
コメント日時 2021-11-19
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ありがとうございます。 ここから少しずつでも勉強いたします。
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