雨粒と虹が混ざり合い、地面を叩きつけている。
落下する流星は幸せなことに、地球を素通りしていくけれど、
それは彼らと僕が一つになれなかった証拠にはならない。
まだ手元の紅茶の湯気でさえ消えていないじゃないか。
我がままで身勝手で時に気まぐれな一筋の光は、
渋谷、原宿それにまだ僕が知らない街を一周して、
パンプキンパイや苺クレープを一口一口と最後にはペロリと平らげて、
東の風が吹く方に僕が掲げた掌へと、飛び込んで収束していく。
今、笑い声で君が揉み消した本音を僕は見逃さなかった。みんな次の話題に夢中で、置いてけぼりにされた声になんて関心を失ってしまったけれど、僕はいつか君が望む時に、君が話したい時に、その言葉を聞いてあげたい。君の胸元を抉ろうとしたその言葉を。
もう死ぬ人はいらない。
手持ちのカードが尽きて君が空を仰いだ時、
密かに隠し持っていた刃で、君は少し意地の悪い天体を貫く。
昨日食べたフライドチキンでさえも、ただ消化されるだけでなく、
君を痛烈に、激烈に後押しする。もう後戻りは出来ないし、する必要もない。
坂道を駆け上がる自転車はもう留まることを知らない。
このまま天球でさえも突き破ってしまおうか。
絶望とかウツとか、大層暗めのスーツを着込んだあやかしの化け物を一突きして一蹴。なぜって物語は終わらないからね。
例え、身が焼かれて朽ち、脳の電気信号が途絶え、
いち人間としての生命が終わったとしても、
打ち上げた花火は決して落ちはしないし、消滅もしない。
明滅し瞬き続ける。永遠に。
それはぐるりと太陽系を一回りしてまた戻ってくる物語。
決して、終わらない。
アパートの片隅でさえも、
古びた一戸建ての傍でさえも、
もちろんどこかに捨てられた赤子の傍らにおいてでさえも。
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 1661.6
お気に入り数: 2
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ポイント数 : 0
作成日時 2021-11-17
コメント日時 2021-12-02
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 23時05分45秒現在
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まず一行目の情景が強いですよね。そし雨から流れ星へのイメージの流れも自然です。また、この情景から2行目で一気に現実に引き戻して続けていくところに実力を感じます。 東の風(春の象徴)や、坂道を駆け上がる自転車といった青春や情熱を強く思わせる単語があり、それが一貫しているのが好きです。 最後に、陰鬱としたイメージがつながり、そこにさえも情熱や青春ある、というのが伝わってきます。とくに最後の、捨てられた赤子という一般に非常にマイナスイメージのある単語があることにstereotype2085さんの世界観が閉じ込められている気がします。 良い作品でした。ありがとうございます。
0奇しくもしし座流星群が地上に舞い落ちる頃に、この詩は生まれたのでしょうか... 前作の『彗星』の清らかな光が、ずっとあなたの中を巡っていたのでしょうか。 この情感溢れる美しい詩は、"君”とあなたが共に織りなした奇跡の一片のように思えました。
0新染さん、コメントありがとうございます。迸る情熱と熱気は、捨てられた赤子の側にさえも宿るものです。光に向かって走る向日性が、僕の世界像・世界観だとしたらそれ以上嬉しいものはないですね。まだまだ研磨の余地ありですが、このベクトルは間違っていないと思います。
0YUMENOさん、コメントありがとうございます。彗星で描いたモチーフの名残。残っているかもしれません。ですがこの詩は彗星よりも一層、陰を払う詩だと思っています。もっと大きな場所へ、光のある方へ。目指す場所は見えています。
1stereotype2085さん そうでしたね!! もっと大きな場所へ、光のある方へ... 高らかに鳴り響く虹のファンファーレが聞こえるようです! 大好きな詩です!
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