世界で一番高い塔から飛び降りる権利をあなたに与えるから
あなたはその塔から逆さまに落下して、逆さまになった都市を見つめてよ
全てが逆さまになった、あなただけの逆さ都市
(逆さ都市には光がなくて
逆さ都市には影がある
逆さ都市には男も女もいないが
逆さ都市には人間がいる
逆さ都市には国家もないが、渦巻く欲望と血は流れている)
あなたは世界一速いスピードで逆さまに落下していくんだ
どんどん、どんどん落下していくんだ
あなたの逆さまの目に映るのは逆さまの都市
(逆さ都市には創造がなく
破壊だけがある
逆さ都市には未来がなくて過去だけがある
逆さ都市には意味も問いも存在しないが憎しみと嫌悪がある)
あなただけに見える逆さまの都市
あなたは全てをその逆さまの目で受け止める
そして
誰にも語ったりしない
光よりも速いスピードで
ずっと黙らなければならない
ずっと永遠に黙っていなければならない
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 1805.0
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 43
作成日時 2021-11-12
コメント日時 2021-11-20
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 11 | 11 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 9 | 9 |
音韻 | 8 | 8 |
構成 | 9 | 9 |
総合ポイント | 43 | 43 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 5.5 | 5.5 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 4.5 | 4.5 |
音韻 | 4 | 4 |
構成 | 4.5 | 4.5 |
総合 | 21.5 | 21.5 |
閲覧指数:1805.0
2024/11/21 22時54分27秒現在
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まあまあ良いじゃない。 権利だいう言葉はやめた方がいい。 しなければならないという言葉は義務だ。 してもよいという今の権利とは合わない。 光よりも早いスピードで、という言葉は陳腐。 逆さまにみる都市を落下してみる。この一瞬の出来事の(人はすぐに地面にぶつかる)永遠さ、つまり、一瞬の永遠性、有時間の無時間性を、もう少し、イメージ化言語化出来ればなお良し
2着想はよい。しかしながらその書き方ではたどり着く場所に言葉が、不在のままではなかろうか。
1高橋大樹さん コメントありがとうございます。
0三浦果実さん コメントありがとうございます。
0ディストピアをメルヘンしたようで、なにか可愛さに救いがある作品ですね。空想癖のある不幸な気分の人を想いました。逆さ都市、男女が無く、人間と欲望と血と、憎しみと嫌悪が、ね、そのうち、阿鼻叫喚の叫び声が満ちる世界が来るのではないでしょうか、そのままだとね、黙り続けることを選ぶのも難しいものだと思います。私も失意を抱え、時として何度も筆を折る想像をしますけど、厭世観や人嫌いのように、なかなか、完全に世捨て人にもなれないものかしらね。ならば、欲しいものを夢見る強さを、馬鹿と呼ばれようと手に入れたいものです。
1湖湖さん コメントありがとうございます。
0飛び降り自殺ひいては新しい未知の領域へと一人飛び込むことの浮遊感と最中の孤独感を、風景を俯瞰的/逆説的に捉えることでよく表現していると思います。また地面への衝突までの間、つまり死と生の距離を永遠と喩えることで、こんなんだぞ、簡単なことじゃないぞ、って言ってるような、そんな雰囲気です。良い作品でした。
1新染因循さん コメントありがとうございます。
0何が順で何が逆なのか、そこに作者の見え方が現れている。 「あなただけ」ならば、逆なのだろうか。 そもそも、その塔から飛び降りることを、他者に許可される世界とは一体どんな世界なんだろうか。 そんなことを考えました。
1井塔由梨さん コメントありがとうございます。
0権利は誰かによって与えられるものかというと誰かではなく本来は法によって認められるものだと思う。その法によって認められる権利というものを語り手は「あなた」に与えると言っている。これはどういうことか。一行目の >世界で一番高い塔から飛び降りる権利 というところからは「飛び降り自殺をする権利」というふうにも読める。しかし法は果たして自殺を権利として認めるだろうか。現在において「安楽死」は認められているようだが、限られた条件下のみだ。海外ではスイスで認められている機関があるそうだが、そこでも条件はあるようだ。国内では法的にはまだ一般的には認められていないと言える。 にもかかわらず、その権利を与えるという語り手は法を逸脱していると考えられる。 ところで「都市」とは何だろうか。国際的には統一された定義はない。産業の発達によって人口が集中してライフラインがつながりインフラが整備され、そこに生活する人々が利便性を享受して営めるという機能的側面によって語られるだけだ。けれどもおもしろいのは当初は人々が生活しやすいように作られたはずの都市は、発展することによって人々によって動かされるのではなく、人々を動かすようになるということだ。人々は自分の意思によって生活をすすめているようでありながら、我知らず都市のあり方にしたがって生活を展開する。大都市であればあるほどそういうものかもしれない。まるで都市がひとつの意思をもち、人々がそれに合わせて生活しているかのような感がある。都市生活者として内部で生きているうちはそのことに気づきにくい。それほどに都市とは生活者にとって見えにくく、気持ち悪い側面をもっていると言えるだろう。更に人口が密集しているがゆえの問題もある。例えば、社会的経済的状況のために困窮に立たされ自殺を余儀なくされる構造がそれだ。都市のありようについて行けない人々をはじき出して疎外する構造を都市はもっている。 作品世界の登場人物である「あなた」もはじき出され、自殺を選ぼうとした一人でなかっただろうか。語り手は、都市というものによって外に追いやられたようでもある「あなた」に飛び降りる権利を与えることで、都市のありようを示そうとする。内部にいるために近すぎて見えなかったものは離れてみれば、想像以上に逆さまなのだ。あるいは作品において、その隠されたありようを示すために、都市は通常の見方を逆さまにされねばならず、「あなた」は飛び降りる権利を与えられたとも言えよう。 そこに語られる「逆さま都市」は外観としての具体的な都市らしさは認められず、抽象的観念的であるのはいささか残念に思えるが、具体性を剥奪されたありようこそ都市の不気味さ冷たさを浮かびあがらせてもいる。これは語り手によってとらえらている都市のありようであり、この点語り手は「あなた」に対して同情的である。むしろ「あなた」への同情が、法によっては認められていない自殺をする〈権利を与える〉という法からの逸脱へ語り手を向かわせたと考えれば、ここに作者の、都市の構造によって不遇な位置に立たされた「あなた」(人々)への寄り添いと社会批判が表れているとも言える。そして以上のように読んでみると、 >ずっと黙らなければならない >ずっと永遠に黙っていなければならない という強調に、やるせなさに似た悲痛なトーンが表れているように感じられてくるし、「生きて語れ」と語っているようにも思えてくる。仮に「あなた」が飛び降りていたとしたら死人に口なしなので言うまでもなく黙らざるをえないのだが。 以上、都市のありようとその中での生と死の関係について考えさせられた。関係ないが「世界でいちばん高い」建物は800メートル以上もあるビルでドバイにあるという。「塔」という意味もあるらしい。二位がスカイツリーだとか。こんな高さから飛び降りるなど想像するだけで死にそうなので生きて語ることを選びたいものだ。
1藤一紀さん コメントありがとうございます。
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