帰港
造船台から進水する天体
見送る点滅灯
補装靴で登るアパートの階段に添えられた、花
人目を憚って摘み取り
カーブミラー越しの遮断機
誰かのしゃっくり
路肩の猫たちが揮発して夜風となり
島へと渡る橋は寝言をぬかしている
いつしか本当の名前を忘れた
この海、いつかの
俺たち
兄弟だった
岩場の陰で野糞してた神様
そいつを言いふらして八年、塩害は起きなかった
抱っこをせがむ幼子の引力
月と裸電球がかち合っては波止場に浮かぶ
国道沿いに棄てられた御神体が10tトラックに轢かれて
朝焼け
俺はまだそれを、神様と呼んでた
今もあそこに住んでる
段丘の先端、白髪の海鳥が今日も西へと向かう
背骨をひるがえし顔も忘れた神様
声だけ憶えてる
兄弟になりたかった
それから俺たち、たちまち愛し合うのだった
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 1302.0
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2021-11-07
コメント日時 2021-11-10
#現代詩
#画像
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:1302.0
2024/11/21 23時13分01秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
郷愁にかられました。 神秘的で美しい詩、写真ですね!
0シンプルなタイトルから、一行面の”進水する天体”という持っていきかたが白眉なのではないでしょうか。以降は叙事的に振る舞っていて、二段落目以降で神様とかそういう話が出てくるのが寓話的に愛嬌と言った感じです。筆が乗っている、って感じがします。
0コメントありがとうございます。 写真も好きでよく撮っているので嬉しいです。
1コメントありがとうございます。 短い作品ですが書かされた、といった感じもありました。
0コメントありがとうございます。 こちらは最近書いたものなので先ごろ発売した詩集朗読集には収録していないのですが、ライブでは気に入っていてよく読んでいます。
0