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夢覚めて
このままでは学校に遅れるけど からだが動かない 意識が戻ってこない どれだけ禍々しかろうと異層の世は まぶたが開くのと同時に跡形もなく はじけ消える はずなのに、今もその層は俺を捕えて離さない 本体は物陰にもいないというのに このままでは学校に遅れるけど からだが動かない 意識が戻ってこない 何人もの人が燃えている 火だるまがいくつもある 個々の炎の中で人体は黒い塊と化している そのどれもが自転車に乗ってこぎ続けている 動くことで身体の火を消すらしい だけどこんな真夏の高気温のなかでは そんなことしても徒労でしかないと気づかないのだろうか 並木の遊歩道を何十台もが 服も着替えられない 夢の余韻が骨髄に凍み付いている 行動が麻痺している 脳が破損している 夢の中ではその世界に現実の感触があったよう この現実の中にもまだ夢の感触がある 本当はまだ起きていないのかもしれない 表情も炭化した死体が車輪を回す 車輪は活力良くアスファルトの上で回る 動き続けていないと意識を保てないようだ 火の塊がまばらに並びながら同じ方向へと進んでいる あまりの高気温にあちらこちらで陽炎が発生している 芝繁る広場で一台が倒れた 澄み渡る青空に太陽は元気に輝いている 未だ燃え続けている人に話しかける 燃えている人はみな爆破テロに巻き込まれその火が引火したのだそうだ 芝を焦がしながら犯行国への憎悪を露わにしている その人の瞳に白目は無かった このままでは学校に遅れるけど からだが動かない 意識が戻ってこない ようやく学校に着いた時には もう誰もが下校していて 窓から忍び込んだ夕焼けが 誰もいない無音の教室を赤く潰しきった後だった
夢覚めて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 923.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-10-15
コメント日時 2017-10-21
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「異層の世」という表現がとにかく素晴らしいし、主観を挟めば僕好みです。この表現によってその後に続く破滅的で、悲壮感のある描写、筆者のテロへの怒りと憎しみが投影された「悪夢」(それだけではないのも充分伝わります)への描写に読み手を惹きこんでいきます。そして最後の一節に出てくる「無音の教室」が平和に見える僕らの母国とそうでない国との対比を表し、表現としてもとても好きです。 「夕焼けが赤く潰しきる」。まさに無常観を強く表していて、締めくくりとしてベストでしょう。 祝儀敷さんの技術、描く対象の幅広さは、初めて会った頃より格段に向上していて、目を見張ります。凄まじい勢いで成長しているのが手に取るように分かります。この難しい素材を「分かりやすく」、ある種「平明」に、描くことが出来たのもその証拠の一つだと僕は思います。 長くなりましたが、最後に(それだけではない)のそれだけではないのは何かについて。それは祝儀敷さんの日常、祝儀敷さんの感覚で言えば、忌々しく延々と続く日常への激情、どうしようもない怒り、無力感も投影されていると、僕は個人的には捉えました。朝から読みやすく、それでいて刺激的な作品をありがとうございました。
0起きられないところから、夢の中の描写がやけにリアルで言葉の選び方がお上手だな、とただの感想になってしまいました。わたしには素敵に感じました。
0返信する前に この詩の夢のパートは私が実際に見た夢の内容をそのまま書いています。
0stereotype2085さん →筆者のテロへの怒りと憎しみが投影された そこなんですよね。私は詩においては作者の主張を積極的に消したいと考えていまして。 この詩だとそう捉えられてしまうだろうなとは予測していました。ただ、観た夢がこうだったからなぁ~。夢の内容はそれで完結しているので不用意に手を加えたくないんですよ。多分無意識の中では夢の内容のそれぞれが理由あってそうなっているのでしょうから、それが崩れてしまうのは避けたい。夢を詩にしたものでネット公開した作品はこれが初めてですが、未公開の作品でも内容を著しくいじったものはありません。 私自身昨今のテロに対して積極的に思うものはありません。平和を語るのは詩でなくていいと思っています。 夢パート以外箇所は基本創作です。(この夢を観た日は本当に体が動かず、大学の2、3限を自主休校はしました)「夕焼けが赤く潰しきる」などが評価されているのはありがたいです。
0ゆきひらさん んまぁ、夢パートはほぼ100%事実、現実パートもある程度は事実ですからね、リアルもなりますわ
0ぬけだせない悪夢のようなイメージを、意識的に構築しているのかと思いきや、レスを拝見して、そのまま、とあり・・・鮮明さ、具体性に驚きました。この夢を実際に見たとしたら、そうとう身体的にストレスがかかりそうです。 〈燃えている人はみな爆破テロに巻き込まれその火が引火したのだそうだ 芝を焦がしながら犯行国への憎悪を露わにしている〉 この二行は、意識的に跡付けて入れたのかと思ったのですが、これも夢の中で聴いたフレーズ、ということになるのでしょうか。燃えながら漕ぎ続ける自転車の不気味さ。自転車でエネルギーを発生する装置がありましたが、その連想も含め、社会のエネルギーを発生させる歯車の一部としてこき使われ、餌食となって消費されていく「人間たち」のようでもあり・・・世界崩壊の予知夢のようでもあり。 具体的な「テロ」という文言や、反抗国への憎悪、といった、定型的な文言のようなものは、実際に夢で見た、としても・・・ナマすぎるともいえるので・・・もう少し工夫して取り込むと良いように思いました。
0まりもさん 過去ツイートを漁ってみたところ、2016年5月20日に見た夢のようです。 (https://twitter.com/yoinoyoi/status/733466657348161536) その日は実際ダメージが大きくて行動が自由にできなかったのですが、その様もツイートしていました ↓ https://twitter.com/yoinoyoi/status/733469345297371136 https://twitter.com/yoinoyoi/status/733507826455183361 https://twitter.com/yoinoyoi/status/733509313596022784 https://twitter.com/yoinoyoi/status/733514168658055169 昔から私は夢をしょっちゅう見て、それを割と起きてからも覚えているタイプでした。それを度々夢日記として書き残していまして、散逸していますがまだ自室にあります。 夢日記の転機はやはりスマホ&Twitterの登場ですね。起きてすぐ書き残せて、そしてそれを公開できる。Twitter以降はそれまでの比でない量の夢が書き残されています。 それらをまとめていますので、よろしければご覧ください。 ↓ https://togetter.com/li/1109534 https://togetter.com/li/1109541 https://togetter.com/li/1125037 https://togetter.com/li/1162832 夢は私の感覚では「自分だけに公開された著作権フリーの映像」なんですよね。だから著作者はあくまで私でない。夢という借り物を使っての詩作は実はこれ以外にも何篇か行っているのですが、実はそれらが結構イイことになっているんですよ。今は諸事情あってまだどうイイのか言えませんが。来週には言えると思います。 自分が著作者でない故に、夢の内容を改変することに抵抗を感じてしまいます。だからこの作で例えれば私の作為なんて「その人の瞳に白目は無かった」と表現するか、「その人の瞳は黒目ばかりだった」と表現するか、映像の表し方にしかありません。 とはいえ、そんなことも言ってらんないよなとも重々思っています。んな俺の見た夢なんだから俺のもんだし責任もって整形しなくては。無意識の世界では人々は繋がっているとかそういうのは置いとけって。とはいえとはいえ、うーん…… 兎角テロは確かに生々しい、それは作者ながら思います。
0以前、夢の解放区、という試みがありました。 www.renga.com/rengeiza/dream/coco/kaihouku.htm 集合的無意識との、夢の関連性、共有財産、というイメージでしょうか。 一色真理さんの『夢千一夜』という電子ブックも出ています。ワード検索などが可能なので、紙媒体ではなく、電子媒体を選んだ、ということのようです。 「著作権フリーの映像」という発想、面白いです。
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