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身体三詩
・肉 食べては、血をめぐり力になる 食べては、血をめぐり力になる 振動するフィラメントは電気信号を運動に変換 収縮する繊維、密集するエネルギーが溜まる 変換される肉は魔法の対価で 天使に贈与することで認識の対象になる 脈は呼吸する電線なんだ 毎日、1匹の小鳥が電線に止まり 毎日、1匹の小鳥が電線から落ちる 繰り返し、循環、変わらないもの 食べては、血をめぐり力になる 食べては、血をめぐり力になる 欲望の象徴は悪魔に仮託される 肉は悪魔に、精神は神に ひとかたまりの肉として 生きること、欲を満たすこと 欲望と身体の間には深い谷があって 恐ろしいトロルが、太ったヤギの通るのを待ち構えている 酔っぱらった花見客の喧騒は 肉の収縮なのだ 電気信号が恥ずかしげもなく疾走すると 二つのフィラメントが顔を見合わせる 繰り返されるピストン運動の卑猥さと それがひとつの肉のなかで行われている神秘 絡み合った繊維の茂み 起始と停止を結ぶ無数の線 それが私の肉である これが私の肉である ひとかけらのパンの軽さ 脂肪の軽薄な体積 に比して、肉はあまりにも重い 食べては、血をめぐり力になる 食べては、血をめぐり力になる 重い肉、震えて熱 カロリーへ! ・骨 密密と硬く硬く 白い支柱、筋に繋がれて 密密と硬く硬く 組み合わさって、動け 密密と硬く硬く 重要なもの、核へ 密密と硬く硬く 死の象徴、顔の骨 密密と硬く硬く 皮膚と肉の、内奥、不可触 密密と硬く硬く 日々、重さに耐え 密密と硬く硬く 折れては、また癒合する 密密と硬く硬く ときに身の内より、傷つけ 密密と硬く硬く 皮を突き破れば血の流れ 密密と硬く硬く 擦れ、摩耗し、ときにずれ 密密と硬く硬く 関節の柔らかい強靭さよ 密密と硬く硬く お前の骨、俺の骨 密密と硬く硬く すかすかだ、もうだめだ 密密と硬く硬く 容赦のない硬さ、槍 密密と硬く硬く 肉を裂いては熱を生み 密密と硬く硬く ああ、お前苦痛の 密密と硬く硬く 密密と硬く硬く 苦痛の主、残酷な ・血 めぐる、はこぶ、生きている めぐる、はこぶ、生きている 熱いお前、血潮よ 全身遍くめぐりては栄養をはこぶ 生きているものは血を流す 死者は? 冷たさにかわいていく 受け継いだもの、貴人の象徴 生まれながらに持っているもの 天賦の才も愚鈍さも 流れていかず、消えもしない 本当に? 血は流れている 流れているだけ めぐっているだけ 何もしない、ただ めぐる、はこぶ、生きている めぐる、はこぶ、生きている ときに美しく流れ ときに悲しく流れ ときに不注意で流れ ときにどうしようもなく流れ ときに意味もなく流れ 身体の外へ流れれば終わり 身体の内で流れれば始まり めぐる、はこぶ、生きている めぐる、はこぶ、生きている それは、新たな命に分有されるだろう それは、最後の命とともに止まるだろう 熱をはこぶ、この愚直な運び屋に 意味はない、と思う 生きていて、流れている だけ、だと思う めぐる、はこぶ、生きている めぐる、はこぶ、生きている それだけ
身体三詩 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1130.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-10-28
コメント日時 2021-11-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文