スーパーで売られている無花果はスーパーなイチジクではない
ミルクが切り口から出ていない
それでも ためつすがめつ見る
皮の色合い ふくらみ 同じものは ひとつもない
紅をさしたかのような口が美しい
心を決めてパックを一つ持ち帰る
皮を剥ぐと きれいにむけたりむけたりむけなかったり
剥いだ跡に現れる新鮮な肌色は生き生き
たまらず かぷりと頬張る
甘すぎることのない なつかしさ
たまらずあたりを散歩する
すると 無花果の樹木は、あった
樹の下は 乳香の水の匂いがする
嗚呼 あの日の匂いがする
ひざこぞうだ
そうでした
いちじくと言おうとして いちにくになってしまったあの日の
おひざにくちづけ
かさぶたをはがして ちょっと出た血に
いたずらこぞうくんが とつぜん やさしい目になり
頬がやさしく わたしのひざこぞうに触れた
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 1104.2
お気に入り数: 1
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作成日時 2021-10-25
コメント日時 2021-10-29
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
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2024/11/21 22時48分08秒現在
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>スーパーで売られている無花果はスーパーなイチジクではない >ミルクが切り口から出ていない ユーモラスですがショッキングな情報を伝える始まりでした。 いちじく(無花果)のミルクが、かさぶたを剥がした血につながり、いちにくにつながるようです。 いちじくの皮は剥き難いのでやはりスーパーな果実ではあります。中盤の味覚から匂いへのトリップにいちじくな味がしました。
3もう若くない世代なのですが、それでもいちじく等の果物は、 スーパーで売ってるけど買ったことのない何か、ですね。 世代が変わると、子供の頃は庭や畑や森で採れた果物をおやつ代わりにしていた、 という話を聞きます。果物ひとつとっても時代の移り変わりが分かって面白いです。 るるりらさんの詩は、私のドライな生活圏内には起こらないイベントばかりで、 こんな温かい感情がまだ残っているのか、と岩山みたいな自分の心に響くのです。
1お名前が変わったのを失念していました。 真清水るるさんです。気付かず申し訳ありません<(_ _)>
1私も子供の頃、裏山にあったいちじくの木から実をもぎ取って食べたのを思い出していました! 作者の優しさあふれる筆致に心が癒されました!
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