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死刑囚
その頤に明らかにも花婿を死なしめては 旧画廊は祝婚花の如き 鉄鋼材の鎧戸を降ろし 普く摸倣史の孤絶を浮ぶ、 驚愕にのみ白痴美は混淆されるべくして 抽象の街に斃れ 市庁舎への降灰に埋む 幾多の遺骸 時計修理工は 尚も棘を 踏み締めて歩み往くのか 麦の血を収穫舎の奥所にて 程無くして死斑は覆う 斯く迄鈍重な鍬に梳く土地の苦きを知り 奴隷階級‐資産階級の相克に 嘗て煽動家はあり 夥多蝙蝠傘の突き立つ墓碑に 銘々を枷鎖桎梏として 監視しつつも 斥動、酷薄たる舷窓にも飛花を見止めては 銃創の荘厳教会堂に 滅潰してゆけ、 水葬の突端‐橋を生涯の終始として 洪水暦零年の誓約を 収穫表に捺し、 農奴は常に供犠として牧羊を屠るとも 兄弟の血を別け隔て 愛憎の双児を矯正の坩堝へと一蹴し、 後悔と過程の 同時的な甘やかさに浸りつつ 躊躇無き私刑執行人、 諸氏の尊厳‐死は既にして実行段階に有り 晩年の楕円鏡は霜に乾くもの 醜怪たる自己慈愛を映しながらも 唯‐現実に 酸蝕腐敗を及ぼし 卑賤序説を生き長らえるとも 孰れにも永続は在らず 所詮、凡夫たるは華を惜しむも
死刑囚 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 944.8
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 5
作成日時 2021-10-18
コメント日時 2021-10-19
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 5 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
顎で死ぬ花婿、祝婚花は祝婚歌と考えてメンデルスゾーンのあの有名な曲を思い出しました。模倣史、白痴美、混合、市庁舎への降灰は桜島であろうか。謎の時計工。読み解きたいと思う作品でした。2連目は「水葬の突端‐橋を生涯の終始として」この行が印象的でした。3連目で洪水暦零年、私刑執行人などが出て来て興味深いのですが、楕円鏡や、酸蝕腐敗などは不気味に思いました。
0あなたの人や世界を見つめる苦みの中にこの世界の美を惜しむ心が随所にちりばめられ、近寄りがたい牙城のような漢字犇めく鎧を持ちながらも、それでいて人情とひたぶる思いをお持ちなんだろう、と感じました。ダイナミズムもあり、頭の悪さですっと入ってこないのが悔しいです。カインとアベルかな、最期の連の凡夫が惜しむ花は女の事かなぁ、とか、詩が全部自分のことを書いてあるような錯覚をしやすい私としてはドキドキしながら読ませていただきました。何度も読める圧があるのでスルメ的に、がっつりとたしかに詩だなぁ、と思います。耽美でありながら社会派的で重厚です。
0読み解きたい、と仰って下さりました事、允に至福の極みでございます。 言う迄もございませんが、彼の音楽家の作品を挙げますなら「無言歌」も出色の代表作集でございますね。 蛇足ではございますが。母方の祖父の若かりし頃、自己流の奏法(辛うじて演奏として成立する、程の水準ではございましょうが) に拠ってヴァイオリンを嗜んで居り、夙にメンデルスゾーンを好み、演奏をして居りましたそうです。
0仰られました通りです。カインとアベルを読み、掬い取って下さり、心より嬉しく存じます。 脱線致しますが。 然る有名な現代詩人が仰いました。「美と表現し得る事物には現代詩は無い」と。而して、私は臍が曲っているものですから、忽ち疑問符が泛ぶのを止め得ませんでした。 もうその様な時代では無いのではないか、と。喩えば。蚤の美、骨の美しさ、皆殺しの美、重爆撃機の美しさ、等々。 万物は美しく、そして醜く有るが侭に在り、或は全く存在をしない、その孰れにも主観的事実は含まれて居り、それらを如何に組織するのか、 然様にしか言語芸術としての詩の可能性は発露され得ないのではないか、と。 たとえば既存価値への反抗、復は従順、前衛か後衛か、と謂った議論には何ら意味も無く。唯有るべくして在る主観の絶え間ない払拭と拡張に拠ってのみ、 絶対的不可能としての客観視‐詩を各々が追求して行く外に、果して現在の詩的営為の意義はあるのだろうか。等と思いました次第でございます。 何か纏りの無い文面と成って仕舞いまして申し訳ございません。
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