ブラームスの4番を聴きながら
カレーを煮込んでいる
開いている窓からは秋がやってくる
ハートランドを飲みながら
カレーを煮込んでいる
素晴らしい時間だ
インターホンが鳴る
「お宅のネット回線見直しませんか?」
「結構です」
キッチンへ行き
カレーの具合を確かめる
そして
グラスのビールを飲む
足を組んで
読みかけの短編小説を開く
インターホンが鳴る
「三ヶ月だけ新聞取ってくれませんか?」
「結構です」
「ビールもありますよ、これでノルマ達成なんです、助けてください」
「結構です」
おれはドアを閉めた。
カレーの具合を確かめる
上々だ
ブラームスは最終楽章に入っていた
ハートランドはぬるくなっていた
夕方五時の欠損
ほんの少しの欠損
だが致命的だ
たとえカレーがうまくできようとも
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 1254.5
お気に入り数: 2
投票数 : 1
ポイント数 : 3
作成日時 2021-09-27
コメント日時 2021-10-03
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
閲覧指数:1254.5
2024/11/21 19時55分21秒現在
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形式的にハッピーと思われる行動をとっても、 ビールがぬるくなる、というたった一つの真実の前に、 それらが虚構であることを思い知らされるという、 おかしみと悲しみが印象に残りました。 しかしながら、やってみないとわからないこと、ということがあるので、 こういう経験は大切だなと、思いました。
0夕暮れの孤独は手持無沙汰で逢魔が淵、それを孤独、という使い古された概念的言葉ではなく、形に変え、欠損、と書かれたのかなぁ、と感じました。それが効果を発揮しています。欧風カレーを煮る時のなかの心、うまい掴みどころですね。
0哀愁や切なさを書こうと思っていたのですが、出来上がったのはどこかコミカルなものになりました笑 でも悲しみも伝わっていたようなのでよかったです笑
1欠損のところはかなり悩みました。いまでももっとなんかなかったかと思っています笑 まだまだ手探りですが精進していきます。
0カレーを煮込んでいる。昼食の準備であろうか。カレーが煮込まれる過程で生じるインターネット回線契約の見直しや、新聞購読契約の勧誘。侵入する秋。ビールであろうか、ハートランドは。詩行から夕食の準備であるようだ、どうやら。欠損が。ほんの少しの欠損。主観的な強がりかもしれないと思いました。「欠損」がこの詩のカギだと思いました。
0さまざまな「時間」が描かれていていいなと思ったので1票。 カレーを煮込むという時間とともにクレッシェンドしていく時間。 対して、ビールは時間が経てばたつほどぬるくなってまずくなっていく、いわばデクレッシェンドの時間。 もうひとつ、ブラームスの第4番という音楽という時間の芸術。それが、ピンポンによって中断されていく、分断された完成されない時間。 この3つの時間がうまくまざりあって、なにか満ち足りたような、足りないような絶妙な心持ちをとても自然に感じさせる作品だと思いました。「ハートランド」も乙な演出です。 ただ「欠損」がちょっとだけ気にかかりました。 いや、いいような気もするんですが、他の言葉に入れ替えたらどうかな、としばらく楽しませてもらいます。
1そうですね、「欠損」がまさにカギですね。 もっとうまい表現が見つかればよかったのですが……
0ありがとうございます。 そうなんですよねえ、欠損以外浮かばなくて泣く泣く、という感じだったので…… もっとあると思うんですけどね。
0あーこれ好きな感じです。 電車を乗り継いだ街の銭湯が好きで好きで、死ぬまで浸かりたくなる日がありますね。 まあ、一度しか行ったことないんだけど。 自分にとっては五時じゃなくて六時くらいですかね。でも今の季節ならやっぱり五時くらいかな。 むろん酒さえあれば十分ハッピーなんだが、、、。なんか、ぬるいビールでも、飲んだらやっぱりちょっとは旨いっていう。 そういう感じです。。
0ありがとうございます。 なんか、わかります、その感じ。
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