盲の少女は尋ねる
木ってなに
わたしは答えようとする
が、すんでのところで言葉に詰まり
なにも言えなくなってしまった
わからないのだ
あるいはこのようにも
死ぬのはおそろしいの
そんなことはわかりきっている
恐ろしい!
これほどわたしたちを脅かすのは
死の他はない、と言い切ってやった
嘘は真面目につきたい
すると少女は口端に微笑をたたえて
そこには悲哀の特権があり
あるいは明朗な憐憫があり
正直わたしは迷惑であった
わたしと少女
とてつもなく離れていそうで
案外近くにいるのかもしれない
それはたとえばこのポプラ木を
一本隔てた距離であり
わたしといえば
光のあるうちに歩んできたが
光にがんじがらめにされて
わたしはわたしが遠すぎる
わからないのだ
わたしにはあの特権と憐憫が
少女にはわたしの迷惑が
けれどもそれらは謎めいた孤独として
わたしたちを美しくし
単純な死を祈りあうことだけは
不思議とわかりあえるのだ
それはつまりポプラの木
木下闇のわたしたちに
木漏れ日の襞を織りなす
この美しいポプラの木
作品データ
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作成日時 2021-09-04
コメント日時 2021-09-08
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
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2024/11/21 23時00分46秒現在
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