一分間でほんの数センチだけ動ける雲が うしろの空と同じ色になるように
太陽も 気まぐれみたいな役目を終えて その島を立ち去ってゆく
終点は まるい形をなぞるように 心の奥に潜んでいる
そのまま目を閉じることで 海を渡ることができるのだ
航海は 鉄を浮かべた森のように 火で真っ赤に照らされている
あるいは 言ってしまえば夕方のように
ナイフもフォークもお飾りみたいな夜があり
その夜に 眠るものは誰だろうか?
昨晩と同じ手触りを確かめるとき
もしかして「私なのか」と思ったのだ
友人は ただ美しく目を閉じる
僕はといえば 冷凍されたハンソロみたいに眠ろうとする
冷凍されたハンソロは 意外とドライブの夢を見ていたりする
退屈な映画を見るためだけに集結したエージェントを乗せて
バスは国道を走るだろう
遠い実家の今はもうない机のうえに 今はもうないプリントの山がまだあって
そこにまぎれた一枚の木版画が それを丁寧に描いている
左手には窓があり その右手で 私はまだ眠っている
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 852.9
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作成日時 2021-09-02
コメント日時 2021-09-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 19時54分03秒現在
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喩えが上手に作用して、緻密さもあり、入れ子構造のようなラスト。人生があまり楽しくなさそうな詩を書く人は多いですが、ハンソロ、頑張ってくださいね!
0ありがとうございます。ハンソロって地味キャラだな~と思うんですけど戦績見てみると貢献すごく大きいんですよね。で周りの人もハンソロはすごいとか立派とか言ってて、別にそれは僕も否定するつもりもなく、確かにな、なんて思ったり。私はハンソロみたいではないのですが、冷凍されたハンソロのように眠ったことがある、というポエムでした。
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