朝5時半にカフェオレを一口。ピザトーストをほおばり新聞に目を通す。もしそこに書かれた記事が嘘やデタラメだらけだったとしても、僕は出掛けなくては。地球滅亡の日が終わったのはついこの前だったのに、今日も人々はせわしなく動いてる。雨の中、西へ東へと走り回る車の行き先を僕は知らないし、知るつもりもない。
火葬場。君の体は一人きりで焼かれる。僕も君も所詮消えていくことしか出来ないのだから、秘密が暴かれるのは悪いことじゃない。真っ白な骨でさえ粉々にされる時君は楽になる。恐れも怯えもコンプレックスも、何もかも白日に晒されて。
肉にありつけなかったジャッカルがやせ細って死んでいく。威嚇の銃声も誰にも響かなくなり、タイヤモンドもたやすく打ち砕かれる。あの街の四つ角にあるファーストフード店。味わったチーズバーガーは生涯、君にまとわりついて離れなかった。
人工衛星がゆっくりと軌道から外れて消えていく。ターキーが持て成されたささやかなホームパーティーも、地球が打ち上げたやたら大きい花火も終わりを迎えるその時、
君の沈殿する心の奥底にあるのは衝撃でも怒りでも戸惑いでもなく、
愛でしょう。
君の沈殿する心の奥底にあるのは、
愛でしょう。
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 1241.9
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投票数 : 2
ポイント数 : 10
作成日時 2021-08-14
コメント日時 2021-08-21
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 10 | 10 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 1.5 | 1.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 5 | 5 |
閲覧指数:1241.9
2024/11/21 23時14分08秒現在
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こんな時、心に去来するものも、 本当はうら寂しさではないかと、 静かな世界の終わりに見た殺伐、 自分自身、最後まで生きたら、 世界の寂しさに共感していそう。 それでも、とても穏やかで、慎ましやかな、 言葉にもしない愛を感じる。 世界の終わりに、人の心は一つ。いいですね
1沙一さん、コメントありがとうございます。お返事遅れました。この詩は「〜だとしても」もしくは「〜の時でも」のあとに「残るのは愛でしょう」というフレーズを持っていきたくて作ったので、そのせいで語りすぎずシャープにという読み心地の良さが残ったのかもしれません。ルミナスラインと体言での書き出し、評価していただき嬉しいです。特に「火葬場。」という書き出しは一人きりの感情、寂寥感が上手く出たのではないかと思っています。
0ネンさん、コメントありがとうございます。お返事遅れました。そうですね。この詩は世界の終わり、あるいは地球の終わりに骨さえも粉々に打ち砕かれた時に、残るのは何だろうかとぼんやりこの時期に考えていたことを形にしたものです。世界の終わりに皆が一つになる。限りなく理想論ですがそうあればどれほど美しいかと僕も思っています。
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