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ベテルギウスを取り巻くもの
ベテルギウスという、あまりなじみのない恒星。初見のインパクトは充分である。 描き出される情景はとても日常に近いものである。ただし、猫が鳴かなくなったり、庭に知らない木が生えたり、家族が苛々していたりする少しずれた日常である……。 しかしながら、それら日常のちょっとした変化は、本当にベテルギウスが爆発した所為なのだろうか。 推測するに、この詩の視点は子どもだ。「ベテルギウスが爆発をしてから」というのは、あたかも「ベテルギウスの所為で」というように解釈できる。しかし、それは子どもの想像力による論理に基づかない空想なのかもしれない。 淡々と描写される日常。そうした些細なイベント(猫が鳴かなくなったり、庭に知らない木が生えたり、家族が苛々していたりする)は、ベテルギウスという絵の具を一滴垂らすだけで、異質で奇っ怪なものへと変貌する。事実、「ベテルギウス」というワードは本文中に一度しか登場していない。それなのにインパクトが絶大すぎる。 衝撃の詩だ。ベテルギウスという微量の絵の具は、劇薬そのものだ。日常を一気に塗り替えるそれを巧みに使いこなし、世界観を生み出したその技量には、感服せざるを得ない。
ベテルギウスを取り巻くもの ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1353.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2021-08-09
コメント日時 2021-09-21
素晴らしいです。
0死んだベテルギウスは愉快な作品ですね。ちょっとイメージがぶつ切りの様な印象も持ったのですが、「あの冬には星があった」と言うからには、文字通りの星ではないのでしょうね。
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