照葉樹林のバラッド - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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照葉樹林のバラッド    

あれは 夕暮れどきの 黄金色き  んの光が スダジイの堅い葉の 重なる隙間を 突き刺すように 抜けてくる そんな景色で ありました 西日は 僅かずつ 赤みを増して 水晶のような沈黙が 辺りを統べて おりました 姿の見えない 小鳥の羽搏きと 枝移りの音 (やつらは鉄の武器をとり  私ののどを掻き切りに  のどを掻き切りに来たのです) 私は 硬い小枝や 鉄色の落ち葉を かりり かりりと 踏みながら 静まり返った その森を ゆっくり歩いて おりました やがて 幾人かの足音が 私の後ろに ひそかに迫り 乾いた落ち葉に ほの甘くねばつく 真っ赤な血が 散り飛ぶことに なるでしょう (やつらは鉄の武器をとり  私ののどを掻き切りに  のどを掻き切りに来たのです) 丹念に 晒した糸で 織り上げた 白くさやかな麻の服 それは私が ちょうど前年の 盛夏のころ 自分のために 作ったのです 装飾品は すべて外して 置いてきました あの人から この人から 受け取った首飾りも 色鮮やかな組紐も すべて外して 置いてきました (やつらは鉄の武器をとり  私ののどを掻き切りに  のどを掻き切りに来たのです) ああ ヒヨドリの 切り裂く叫び 落ちる視界に 香りの飛んだ落ち葉が 無情に尖って 宵闇の迫る世界は 流水のような冷たさを 掛け流しにし始める あれは 夕暮れどきの 黄金色き  んの光が スダジイの堅い葉の 重なる隙間を 突き刺すように  抜けてくる そんな景色で ありました (やつらは鉄の武器をとり  私ののどを掻き切りに  のどを掻き切りに来たのです)



照葉樹林のバラッド ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1232.1
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2021-08-05
コメント日時 2021-08-08
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:1232.1
2025/04/13 23時19分24秒現在
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    作品に書かれた推薦文

照葉樹林のバラッド コメントセクション

コメント数(4)
早瀬野卑
早瀬野卑
作品へ
(2021-08-05)

全く新しいアングルからの古代叙情詩また古代叙事詩ですね。連作をお願いいたします。

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アンチアスファルトマン
早瀬野卑さんへ
(2021-08-05)

れれれれ連作。恐縮です。単発のつもりでしたが、関連性のあるものを思い付けるか挑戦するのもよさそうですね。 北原白秋が好きで、ああいう視覚に訴える感じを試してみました。 (現代詩かどうかは…ですが)

0
蛭子子
蛭子子
作品へ
(2021-08-08)

ちょっと古い印象も受けますがその古さが硬派さになっててすごくいいですね。

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アンチアスファルトマン
蛭子子さんへ
(2021-08-08)

コメントありがとうございました。 詩の年代感が悪くない働きをしたでしょうか。とはいえやはり古さはあるとのこと、参考になりました。

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