あれは
夕暮れどきの
黄金色の光が
スダジイの堅い葉の
重なる隙間を
突き刺すように
抜けてくる
そんな景色で
ありました
西日は
僅かずつ
赤みを増して
水晶のような沈黙が
辺りを統べて
おりました
姿の見えない
小鳥の羽搏きと
枝移りの音
(やつらは鉄の武器をとり
私ののどを掻き切りに
のどを掻き切りに来たのです)
私は
硬い小枝や
鉄色の落ち葉を
かりり かりりと
踏みながら
静まり返った
その森を
ゆっくり歩いて
おりました
やがて
幾人かの足音が
私の後ろに
ひそかに迫り
乾いた落ち葉に
ほの甘くねばつく
真っ赤な血が
散り飛ぶことに
なるでしょう
(やつらは鉄の武器をとり
私ののどを掻き切りに
のどを掻き切りに来たのです)
丹念に
晒した糸で
織り上げた
白く清かな麻の服
それは私が
ちょうど前年の
盛夏のころ
自分のために
作ったのです
装飾品は
すべて外して
置いてきました
あの人から
この人から
受け取った首飾りも
色鮮やかな組紐も
すべて外して
置いてきました
(やつらは鉄の武器をとり
私ののどを掻き切りに
のどを掻き切りに来たのです)
ああ
ヒヨドリの
切り裂く叫び
落ちる視界に
香りの飛んだ落ち葉が
無情に尖って
宵闇の迫る世界は
流水のような冷たさを
掛け流しにし始める
あれは
夕暮れどきの
黄金色の光が
スダジイの堅い葉の
重なる隙間を
突き刺すように
抜けてくる
そんな景色で
ありました
(やつらは鉄の武器をとり
私ののどを掻き切りに
のどを掻き切りに来たのです)
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 1170.1
お気に入り数: 0
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作成日時 2021-08-05
コメント日時 2021-08-08
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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2024/11/21 23時41分08秒現在
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全く新しいアングルからの古代叙情詩また古代叙事詩ですね。連作をお願いいたします。
0れれれれ連作。恐縮です。単発のつもりでしたが、関連性のあるものを思い付けるか挑戦するのもよさそうですね。 北原白秋が好きで、ああいう視覚に訴える感じを試してみました。 (現代詩かどうかは…ですが)
0ちょっと古い印象も受けますがその古さが硬派さになっててすごくいいですね。
0コメントありがとうございました。 詩の年代感が悪くない働きをしたでしょうか。とはいえやはり古さはあるとのこと、参考になりました。
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