人間のことが大嫌いな人たちがいて、
彼らの作ったボタンを押すと人間が全滅するっていう、
そういう時代が帰ってきたらいいなって思ってしまう。
石に悲しむ能力はない。
木にも。
背中を預けるウォールペーパーにも。
カーテンのことが大嫌いな人たちがいて、
彼らの政治が大口を開けた鍋の憎たらしい誘惑に見えてしまう。
まだ寒い教室の中でペットボトルが落ちる音を聞く、少年時代はつらかった。
私の大切な友達にまた会いたいと思う。
輪郭というものを知るまでは、
渦は大切な友の一人だった。
渦は眠りの前のダイナミクスで、
輪郭は本の形をした花のことだ。
声のような汽笛が鳴る教室の中で
窓が誰かの胸をくりぬいた青空のように見えてくる。
その中に多くの頭痛が隠されていて、
誰かのために初めて祈った日のことを思い出している。
*
眠りにつけばすべてを失うという国があって、
ポケットに手を入れたまま、ほんのひととき目を閉じた。
今はもう海のように広い草原だけがのこされているその国の
国境から数億キロメートルも南にある特別な陽光の中でだけ
死者を弔うことが許されている
作品データ
コメント数 : 1
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作成日時 2021-08-03
コメント日時 2021-08-03
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 20時19分17秒現在
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素敵な世界観ですね。どこか過去にノスタルジックなキャンパスを持っていて、そこに想像上の世界やメタファーで俗世の厭世観を描いている、という印象を受けました。詩を最近勉強し始めて、難しさを痛感しているので、いすき様の感性も参考にさせていただきます。
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