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詩
1. 詩の作品で生まれた脱字を ベビーカーに乗せて運んでいる ここはわたしの島だよ だから集団行動はもうおしまい そして詩人たちはそれぞれの家に帰り まっ青な台所で 最後の晩餐について真剣に考えていた 2. こころの中身はスイーツみたいだった。体液がついた手を石鹸で丁寧に洗ったあと、体から切り離したこころを水道水で洗っている。年齢を重ねてしまったせいか、ライチに似た表面の皮はツルツルしてはいなかったけれど、なでるとなめらかに指は滑り落ちていった。そのうちこれもどんどん皺が増えて固くなっていくのだろう。こころの皮を親指を入れて剥いてみると、プリンのようなやわらかく弾力のある白いものがこぼれ落ちてきた。学校ではそのなかにこころの本体があると習ったので、スプーンでなるべく壊さないように中心まで割ってみたけれど、どこまでいっても何も見当たらなかった。そこは、意味や感情を完全に排除したような白さで、ひたすらに個人的な雪原が広がっているだけであった。その体液は、ほのかに甘い匂いがした。おおくの出来事がわたしたちを通り過ぎて、その環境にわたしたちはひどく混乱してしまったので、もう一度こころを整理しようと思ったのだけれどその必要はなかったようだ。よかった、わたしたちはもう何も思い悩まなくていいし、スピリチュアルなものは真っ赤な嘘だったのだ。わたしたちの正体は、ただのスイーツだった。 3. さよなら、と告げたらとてもスッキリした。悲しいはずだったのに、涙も出なくてなんだか笑ってしまった。あなたがわたしを好きじゃなくなってしまったのは何となく感じていたけど、あなたは何だかとてもズルくて結局別れの言葉すら言ってくれなかった。付き合いたての頃はすぐに連絡をくれたのに、何日も返事に時間がかかるようになって、取ってしまったくるりのライブのチケットの待ち合わせのためにようやく連絡をする始末だった。横浜の山下公園で強めに吹いていた潮風、中目黒のちいさなカフェで食べたプリンの苦いキャラメル、奥渋谷にあるサブカル本屋のキラキラした紙、そういうものたちが時間をさかのぼってわたしの部屋中にふんわりと蘇り、そうしてあなただけがここに戻ってこなかった。もっと上手にメイクができたらよかったのかな、とか、もっと普通の女の子のふりをしていたら良かったのかなとか、そういう無駄なことばかり考えて、わたしそのものがぐしゃぐしゃになったまま、朝と夜が一緒にやってに来るのを待つしかなかった。いろいろなものが何もかも散らかって整理することができないまま、かといってそれらを捨てることも出来ず、かつての歴代の元彼たちはゆっくりと時間をかけて「詩」になっていった。 4. BREAKING NEWS! 新型コロナウイルスという未知のウイルスが、ようやく世界で収束の兆しを見せ始めたころ、一部地域で「詩人狩り」が行われるようになった。WHOの見解としてウイルスの発生源は不明だと結論が出たにも関わらず、新型コロナウイルスは「とろとろプリン島」のウイルス研究所で培養されたものだとYouTubeなどで語られていた。それはつまり、今回の世界的なパンデミックは人間によるテロ行為だということを意味していた。不幸なことに、とろとろプリン島は著名な詩人が多く輩出されている島であった。そのため、詩人たちが今回のバイオテロにおけるスパイ活動の主たる犯人であるのではないかと噂されたのだ。結局、それが真実なのかはよく分かっていない。タイミングも悪く、この時期の詩人たちが書いた作品は難解なものが多く、一般人の理解を得ることはなかなかできなかった。それがスパイ活動における暗号であると言われ、わたしたち詩人は沈黙せざるを得なくなってしまった。そもそも、詩人とは一般人とは異なる気味の悪い言葉を記述する人々と思われていたのだから、仕方のないことだったのかもしれない。それに伴いぽえこみゅという現代詩サイトでは「一般人でも意味がわかる文章を書くこと」という規制の一文がルールに追加された。それでも言葉遊びをした詩人たちはアカウント停止の対象となり、わたしたちのような詩人たちは社会的に抹殺されようとしていた。 5. 臨月を迎えてから、海で泳いでいる夢をよく見るようになった。それはひどく真っ暗で、太陽の光がぜんぜん入らないくらいの深さの場所だった。海底にはスーパーで売っているような魚介類はまったく見当たらず、ときおり透明な甲殻類がチラチラと歩いていた。それは、この世界で最高にまっくらな景色だった。夢のなかではちゃんと指かきとエラと尻尾がついていて、人間だった時と同じようにスイスイと海を泳ぐことができた。小学生のころ、水泳のオリンピック選手の候補生だったときを思い出して、まだこうやって泳げるんだから身体の記憶力はすごいなと思った。たぶん、わたしが忘れてしまっていることも身体は細かく覚えているんだろう。毎朝決まった時間に開けた花柄模様のカーテン、ちょうどよい茹で具合のブロッコリーの鮮明な緑、リモコンだけが置かれた清潔なリビングテーブルの木目。そういう日々の組み合わせで出来上がったわたしの細胞が、いま、子宮のなかで急速にコピーされている。きっとこの子もそれなりに幸せになるのだろう。それなりの大学を卒業して、それなりの大企業に就職し、それなりの公務員と結婚する。バックアップされていく遺伝子、引き継がれていく命。海底にキラキラと光るものが見えて、近づいてみるとそれはラージャンのたてがみだった。わたしはそれを一本拾って口に含んでみた。その体毛は、ほのかに甘い匂いがした。もしかしたらこれは、あの時取れなかった金メダルの代わりなのかもしれない。そういえばこの子も美しいフォームでクロールを泳ぐのだろうか。 そして、わたしは一体この世に何を残してしまうのだろう? 6. BURN THE POEMER! 「この世界には二種類の人間がいる。それは、光の戦士と闇の悪魔だ。いいか、俺たちは闇の勢力を倒さなければいけない。彼ら、とろとろプリン島の悪魔はそもそも言葉が通じない人種なんだ。何を言っているのかわからないし、ちょっと頭がおかしいんだよ。現代詩という文章を芸術作品として発表しているようだが、読んでも全く意味がわからないし、ちっとも面白くない。調べてみたら、詩というのは「詩情」から生まれるものらしい。だから俺たちは、まず彼らの脳にある「詩情」を抹殺しなければいけない。よく見ておけ。こうやって、彼らの脳天を目がけてこの特注の魚雷を打ち込むんだ。悪魔たちは島の海底にシェルターを作っているから、それ専用の武器をこしらえたんだ。まあそれにしても不気味な場所だ。海底を見ても、何の生き物も見当たらない。ときおり透明な甲殻類がチラチラと歩くだけだ。それも「詩情」のせいなのかもしれない。俺たちが彼らの脳みそに詰まっている「詩情」を吹っ飛ばせば、彼らも本来の人間としての魂に戻って浄化される。それを何て言うか知ってるか? つまり、それこそが「南無阿弥陀仏」ってことなんだよ。これはとろとろプリン島の悪魔の、汚れちまった魂を救う作業なんだ。俺たちの使命は「詩情」に捉えられている人間を解放し、光の世界へ人間たちを導くことだ。わかったか? 新人さんよ。俺たちならできる。今こそ、正義を実行する時なんだ。」 7. 表現の先には何か、何かとてつもない真理が隠されているんじゃないかと思っていた。こころとか、神様とか、愛とかそういう、目に見えない素敵な何かが。本を読んだり、音楽を聴いたり、絵画を鑑賞したりしたけどけっきょく作品以上のものはそこには何も存在していなくて、目に見えないことは目に見えないということ以上のことは何もわからなかった。それよりもコロナ禍になってからは任天堂スイッチでモンスターハンターをしていることのほうがよっぽど楽しくて、特にわたしはラージャンという金髪のゴリラと戦うのが好きだった。ラージャンの必殺技は金色のビームを口から出すことで、彼の正面にいるとその攻撃をがっつり受けてしまうのだけれど、それが笑っちゃうくらい楽しかった。その瞬間、わたしたちの視界は何もかも金色に染まって、悲しいこととか暗いことがすべて輝きに消されてしまうのだ。それはこの世界で最高にあかるい景色だった。けれど最近はラージャンを倒すとラージャンの死んだ顔を見なければいけないのがだんだん辛くなってきて、「ラージャン、死んじゃった…」と悲しそうにつぶやいたら、「それ、本気で言ってる? これ、全部データだよ。」と恋人は言った。 8. 「南無阿弥陀仏~!」 「みっちゃん、それは攻撃のことばじゃないのよ」 9. ぽえこみゅ掲示板 882 匿名おじさん 2001-9-11 08:46:11.80 ID: ※♂�あ ∞ ※あ∞ ※あ∞ �♂♀� あ※� あ、∞ ∞ ♀∞ ※あああ※� � ※♂♂� あ�※ � ※※ああ♀� ∞※ ∞ ∞♂♀�あ、 �※ ※あ � �∞ ∞ ∞ ※�� ああああ※※� �� あ※♂♂♂♂� �♂ ※∞ ∞ ∞� あ、� ※�♀� ※♀♀� ※※♀♂ あ、 ♀♂ � ああああ�※あ、※※ ♀� あ� ※ああ� ※∞ ∞ ∞� あ� � あああ �∞ ∞ ∞ � � �あ � ∞ ∞ ∞� あっ�♂� ∞ ∞ ∞♂�※ ああ� �※� � あ� ※�∞ ∞ ∞� あ� � あ、�※∞ ∞あ ∞※� ※�♀♂♀♂ あああ� ※� ああ�∞ ∞ ∞※ ≪この作品は投稿規定違反のため削除予定です≫ 2225 匿名おじさん 2011-5-2 02:25:56:33 ID: �∥ёあ ∈~��\♂♀§ /�ああ�~/∈� ∥あё� ☆~∈\\�あ、 ∈//�§§~§ �あ ё∥∈∥♀♀~�∥あ、/ �\ё∥あ、♂∈∥ � ~∈��\\ё //~/ああああ∈�§ §\� � あ、� ё☆ ∈∥★\ /~� あ� ∈∥ё� �§/\あああ♂♀♂~♀∥\� ��∥ё∈�あ、 �~ё \� ё/� ё ああ\� ∈~0 1∥ 2あ、/ ☆ё � あ、�~\\ \∈§� �ё あ、/� ★3~\∈∥ 4あ、 5~ё ☆ ∈/★6 \あ、∥ё~7 8あ、 ∈9 �ё /� \ё§� ∈~あああ/� �ё~∥� �§~∈/ \ああ∥♂� あ、ё�\\∈� あ、�ё ≪この作品は投稿規定違反のため削除予定です≫ 10. 読む価値のないものばかり書いてきた。あなたはどうしてこんなくだらないもの読んでいるのだろう? もう何にも出てきやしないし、今まで何か人様の役に立つことを書いたかと聞かれたら、そんなものは書いた覚えがないと答える。良いものを書こうと一応は思っているものの、良いとされる真実を知らないし、おおくの人間に良いと認められるような作品は書きたくなかった。もっと正直に言うと、そういうものを書く能力がなかった。謝らなきゃいけないのかもしれない。誰に? 読者にか。こんなものを読ませて申し訳ありませんでしたってか。綺麗なものは嘘くさかったし、汚いものは見るに堪えなかった。そのどっちつかずの場所で、くだらないものをくだらない文体でどうしようもなく書いてきた。ひどく残念だ。わたしはずっとわたしに復讐するために書いている。きっとこんな作品は早く消えたほうがいい。南無阿弥陀仏~! みっちゃん、それは攻撃のことばじゃないのよ。 過去の作品は何もかも気に入らなかった。キーボードを押した瞬間、それらの文字が憎しみの対象にどんどん変わるのを眺めている。みっちゃん、それは全部データなのよ。 あなたはどうしてこんなくだらないものを読んでいるのだろう? これは詩じゃない、こんなものは詩じゃないんだ。ねえ、みっちゃん、そうでしょ? ≪この作品は投稿規定違反のため削除予定です≫
詩 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1097.5
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-08-02
コメント日時 2021-08-04
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
光栄です! でも褒められてしまったからには、もうこの作風は捨てなきゃいけないと感じています。
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