部屋の粘性により、筆に迷いが生じてる
煙草の匂いが染みついた原稿用紙には
紫陽花
梅雨
毒入りコーヒー
それと、傘を差した人影
「やっぱり、ミステリーは豪華じゃないと」
本棚の隅で、開き癖のついた彼女の呪いが渦巻いている
窓を開ける
流れ込んでくる雨の音が耳を塞ぎ
煙と一緒に不快感を吐き出す
ふと、紫陽花の生垣に気づく
綺麗だな、なんて思いながら
その傍の街灯に誘われて
視線を上げれば
傘を差す人がひとり
まっすぐ
こちらを
見ていた
そんなはずはないと、椅子にへたり込む
机上には、空っぽのコーヒーカップ
すべてが妄想だというのに、手の震えが止まらない
四角い闇の中から流れ込む大量の雨音を割いて
数分前から粘ついていた思考が、ついに幻聴を拾う
「やっぱり、ミステリーは豪華じゃないと」
頭の中で、彼女の呪いが渦巻いている
作品データ
コメント数 : 1
P V 数 : 873.2
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 6
作成日時 2021-07-25
コメント日時 2021-07-27
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 6 | 6 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 6 | 6 |
閲覧指数:873.2
2024/11/23 18時59分28秒現在
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ミステリーは豪華じゃないと、言葉の切りが良く何度も読み返します。
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