まだら色をした渦紫陽花は
自分の重みで零れ落ちるまでの
僅かな季節を過ごす蝶であり
ひと粒の雨のための器
いつか最上級の枕で眠りたいと云う
まち針のためのピンクッション
憧れのジューンブライドも
血を吸われ
七月は蚊を殺した
目覚めると綿飴に似た日曜日の朝
アイスクリームショップのテレビコマーシャル
ピンクとパープルのアイス(どんな味?)
それからママの嫌いなヌガーチョコレート
わたしの背より高いところで咲いているのは
チェシャ猫かもしれない
いつの間にか小さくなって
入口を振り返っていたのか
出口へ向かっていたのか
何れにせよ、束の間の雨上がり
道は泥濘み
親指を汚した
おいで、と
あっちへいけ、は
よく似ているから
ときどき間違えてしまう
お揃いの血飛沫でふたりは
ずっと仲良しだよ
(ママには内緒ね。)
(なぜ?)
(たぶん、ママが嫌いなやつだから)
(ヌガーチョコレートっておいしいのかな?)
(たぶんね)
目覚めると
また、雨
梅雨は
カバンの底に追いやられ
ぐずぐずのチョコレート菓子を舐るように憂鬱
湿気た布団のなかで
わたしたちは花の夢を見る
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 1659.9
お気に入り数: 0
投票数 : 4
ポイント数 : 7
作成日時 2021-07-10
コメント日時 2021-07-18
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 4 | 4 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 7 | 7 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3.5 | 3.5 |
閲覧指数:1659.9
2024/11/21 23時14分16秒現在
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沙一さんありがとうございます! タイトルって難しいですね〜。あまりタイトルで語りたくないっていうのもあって、その塩梅が。 > 暗鬱な梅雨も暗鬱なままで甘美に感じられてくるような詩。映画も音楽もそしてやはり詩も、現実に彩りをあたえてくれるものだと信じています。 とのコメントを頂戴しまして、私自身が詩を読む時に求めているものでもあり、大変嬉しく思います。
0雨のなかで、意識を覚醒させるモチーフは血なんだなと感じました。
0ひそやかな、囁き声のような感じがしました。もう少し、時間をかけて読んでみたいと思います。
0深尾さん、ありがとうございます。雨と血液、なんとなく相反するイメージがあるから……でしょうか?温と冷的な?寒色と暖色的な?少しでもイメージすることを楽しんで頂けたなら嬉しいです。
0ABさん、ありがとうございます!チェシャ猫は……たしかに単に「猫」だけでも良かったかなぁとも思いましたが、うーん悩みます^^; 私はとても蚊に刺されるのがこれからの季節の悩みです。。
0ryinxさん、ありがとうございます(^^) 散歩をしていて浮かんだものです。散歩みたいに気軽に読んでくださいね。
1yamabitoさん、ありがとうございます!その感覚とっても嬉しいです!私もそういうのが好きです!分からなすぎても面白くないと思うので、その塩梅にいつも悩みます。
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