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或る手紙
前略 つむじ曲がりはわたしです そんなわたしにもありました 赤い血が瑞々しく流れていて ときめきのように鼓動をうった 柔らかなずっしりとした肉 今はただ沈黙し 冷たい石になった心臓を 抱き抱えては右往左往 なので 大慌てで荷物をかきあつめ 石の柩に詰め込み しっかりと蓋をして 真夜中、墓苑に埋めました (決して掘り起こさなでください) 思ひ出なんぞ私には重すぎるので ひとりひっそり弔いをすませると 鞄も持たずに去ろうと思ったのです 丘に立ち寝静まっているはずの街に さよならを 石の心臓よ共に往こう お前だけが旅の道連れ それもいい どうしたって たった一度の旅だもの ただ一つだけ 手紙は忘れてください 草々
或る手紙 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1342.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-07-03
コメント日時 2021-07-27
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
作家井上橙子の文脈で読むと、本作はかなり飛躍された作品になっているに思いました。作家の生の息遣いが宿ってるように思うんですよね。それは手紙という仕様を取り入れられたことによる効果かと。 >(決して掘り起こさなでください) こちらの括弧書きを挿入されるところが、井上橙子氏が垣間見せるオリジナルな感性の表現に読めました。
1読んでいただきありがとうございます。 作家、と言われた事に対して、自分の書くものから逃げるな覚悟をもて、と叱咤激励された思いがしてハッとしました。 生の息遣いが宿っているように思うとの事、ありがとうございます。
0読ませていただきました。書き出しがすきですね。何が起こるのかって思えて。2連目の肉体の描写と、対象的に冷たい石になった心臓が印象に残りました。 なんだろう。肉体は機能しているのに、精神は石のように硬く凝り固まってしまっているのでしょうか 思い出を残して、夜に人知れず街を去る語り手に石の心臓を受けいれた覚悟を感じました。
0作品を読んでいただきありがとうございました。 好意的に受け取って頂けて嬉しいです。 >なんだろう。肉体は機能しているのに、精神は石のように硬く凝り固まってしまっているのでしょうか しゅかさんの言う通りです。 精神が硬く凝り固まってる情景です。 語り手が誰に手紙を送ったのかは、内緒ですが。
1伝えたい人がいるんだな、と思いました。
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