空と水平線の狭間に輝くもの
ああ、また生まれては死んでいくのね
だから潮はこの香りを保っている
どちらかが止まる日が来た時
この香りは薄まっていくことでしょう
科学での保存をせずに
次の世代に伝えるにはどう言ったら良いのでしょう
何億人もが詩人となり挑んだ日々
啜られていくのは言葉に表せられないもの
潮の香りが消え失せた海では
不死身の命で満たされているのでしょうか
それとも嗅ぐものが居ない
緊張するほどの静けさが広がるでしょうか
潮の香りは何処に行くのでしょう
取り除かれた海の香りはどんな感じでしょう
青さも保てているでしょうか
何億人もが詩人となり挑んだ日々
啜られていくのは言葉に表せられないもの
ペンのインクを何本も消費して
ノートの白いところを埋めていく
潮の香りまだ伝えられない
そうやって行くうちに指先から煙が出て
灰になっていく詩人が現れる
それを溶かして誰かが引き継ぐ事を繰り返す
だが潮の香りはまだ伝えられない
時間の奥へと追いやられてしまう前に
伝えなくてはいけない
何億の詩人が灰となり
その全てを託された最後の詩人は思う
こんな事をやって意味があるのだろう
誰が読んでくれるのだろうかと
自転車を漕いで自ら風を生みながら海へと向かう
そして掬い上げた海水を口に運び込む
喉を流れるのは純度の高い生命と死の香り
皆は書いている間に潮の香りを嗅いだのだろうか
想像の海での出来事を書いていたのではないだろうか
そんなもの引き継いで遺したって意味がない
最後の詩人はペンをへし折り海に放り投げた
それは海を黒く染めることも出来なかった
何億人もが詩人となり挑んだ日々
啜られていくのは言葉に表せられないもの
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 1078.3
お気に入り数: 1
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作成日時 2021-06-24
コメント日時 2021-06-28
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 23時13分32秒現在
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対象物を説明したり、名前を示す行為は、対象物を知っている人にのみそれを想起させうるものであって、対象物を知らない人間にどうやってイメージを伝えるのか、というテーマなのだと読み取りました。 潮の香りを科学的手段に頼らず言葉のみで保存する、という行為は多分徒労なのでしょうが、それでも書き表そうとしてしまう言葉を扱う人たちの悲しさみたいなものを感じます。 同時に言葉を扱う人への冷ややかな視点も同居していて、それが最後の一連に表れているのかな、と思いました。
0こんにちは! 詩を書くことについて知り合いと話していたらこうなっちゃいました。 言葉を扱う人への冷やかな視点! 意見を頂くまで気付きませんでした。 教えていただきありがとうございます!
0こんばんは そうですよね!詩の話をしたり、されたりするんですけど 実のところ私もよく分かっていません! 分かるときが来ると良いですね!
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