海藻がうちあげられた
引き潮の浜辺を歩く
友人の雑談を聞き流し
蒼白いその四月を感じるために
海に顔を向ける
規則的にうちよせる白波を見ながら
水の糸で
春のセーターが織られることを考える
泡でできたきらめく真珠の波
(おまえたちが)
(この世に生れるということ)
ちいさな船の
甲板に立つと
足もとに不安を感じた
出港し
船は巨大な橋の下を通過する
幾羽もの水鳥が海面から飛び立った
野生のイルカが
船のすぐ脇を行き過ぎるのを見た
水中に沈んでいく死をイメージする
それは暗い時間であった
現実からは
心臓の鼓動が届く
心のなかの天使たちが
幾重にもラッパを吹き鳴らす
船は風で大きく傾き前に進む
マストは音をたて
風が吹くたびに
手に持ったロープを巻く作業をくり返す
話すことは
なくなっていた
陽を浴びてただ風に吹かれた
荒れ放題のヨットハーバーに散乱する
合成樹脂板と木片
焦げて炭化した木片があった
コンクリートブロックにこすりつけて
波の呼び声を聴いた
作品データ
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作成日時 2021-06-24
コメント日時 2021-06-24
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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2024/11/21 23時07分06秒現在
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