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石けりをしながら
今は夜の9時 外は猫の声だけの世界 石けりをしながら 帰る子供の声は今はもう聞こえない 私が子供の頃どうだっただろう 大通りに面した小さめの歩道 今はアスファルトだけど そこはまだコンクリの角石だった ろう石を兄と二人 隣のおばちゃんから貰った そのおばちゃんはゴム風船やら布で巻いた綺麗な鉛筆やらをよくくれた おばちゃんの顔はクモの糸の向こうに薄っすらと見える 今は何処にいるのやら あれは現実(本当)の事だったんだろうね 含み笑いを一つ 苦笑を一つ そうして角石の上一面に 自分の身体の二倍の絵を描いた 灰色に白い粉がつまる UFO ロケット 女の子が三人 女の子は隣のあやちゃんでも友達のみっちゃんでもない 女の子はただの女の子だった ああ そういえば坂を登った行き止まりにある 保育園の園長先生はどうしているだろう 汽車ポッポが電池で走っている小部屋で似顔絵を描いてくれたあの先生 今はアルバムの中にある 少し前に行ってみたら目線の高さは違っていて白髪は増えていた 笑い方は変わっていなかった ため息を一つ 電灯をぼんやり見ていた ストーブが暖かい お皿はカタカタ震えた 母が肘をついてうたた寝しているから 今はもう10時になっている 今は全て今なのにすぐにもうになってしまうんだ ため息を一つ ガラスの向こうの景色がくしゃみをひとつさせた 窓枠はカタカタ震えた 風の子が入りたがっているから 今はだめだよ 明日の朝君がやさしくなった頃 その頃子供は石けりをしながら 行ってきますと言うんだろう
石けりをしながら ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1322.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2021-06-13
コメント日時 2021-06-24
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
とても優しく、ノスタルジックな匂いの感じる詩ですね。可愛らしいと思いました。
1優しい感情は読んでいる人をほっこりさせると思います。だから、優しい詩を作りました。 可愛らしいとの感想嬉しいです。ありがとうございます!
0詩に表された風景に懐しさを感じます。 私が小学生の頃の風景です。 つまり昭和ですね。 人々が熱心に進化をしようとしていたような不思議な時代でしたね。
1懐かしさ伝わっていたら嬉しいです。多分私も同じくらいの年代かと思います。昭和の懐かしい思い出を詩にしてみました。頑張っていた時代でしたね。作品へのコメントありがとうございます。とても励みになります!
0こんにちは。 他の作品でも書きましたが、貴方の詩からはなにも衒わないノスタルジーが感じ取れます。素敵です。一行目の〈猫の声だけの世界〉という表現も面白いと思いました。
1作品を読んで下さってありがとうございます。 また、もう一つの作品にもコメントを頂き感謝しております。 はい、私は色々と昔の事などを思い出してしまうところがあるようです。ノスタルジーに浸ってしまうのですね、きっと。 それで、思い出して、良い事も悪い事もザーッと頭の中に溢れてパンパンになる時がありますが。 本当に読んで頂き、またコメントまでして頂けて嬉しいです。泣いております。 心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
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