雑踏の片隅にて花売り女の先端が空気を混ぜていた
一枚きり羽織られた
花売りを暗色に覆う
薄衣が
はためき
ほつれ続ける
空気を踊る糸が
行き交う人々の肌へ
届くことがある
度に糸は
人々の肌へ
ぬっぷりと沈む
過ぎ去る人々の肌は色付いていく
薄衣の暗色は
均整を保ちながら
ゆったりとはだけ
次第にあらわになる
花売りの
ほとんど透明な素肌は
人々へ沈んだ糸と
先端の混ぜた空気を
介して
とまどうほど
初々しい他者の
表層の
なまの湿度に
ひととき
アクセスする
あるいは素肌こそが糸を紡ぐのだ
暗色の薄衣は
いつしか肌になく
薄衣だったものは
沈着し
密偵する色素として
点在するだろう花売りは
集約する
微笑みの表情と
包み込む仕草を
雑踏へ投げかけ
足を組み
中空に座る
そしてやがて完全に透明な肉体が露出する
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 1373.7
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 2
作成日時 2021-05-25
コメント日時 2021-05-29
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
閲覧指数:1373.7
2024/11/21 23時17分07秒現在
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こんばんは。 白川さんの作品はいつもエロスを感じる気がします。あくまでも私個人の勝手なイメージです。人間の肌や肉体を感じる。 描き方が素晴らしいので、上品にまとまるけど、生々しい。肌の熱まで伝わってくる気がします。 >点在するだろう花売りは このあたり、どこで切れているかによって解釈が違うかもです。私は、色素が点在して、花売りが集約していると読みました。 >透明な肉体 肉体が「透明」だという事によって、なんだか明るい気分になりました。花売りから始まって、透明で終わる。 この明るさに、投票します。
0Yamabito さん コメントありがとうございます。技巧的、よく言われる言葉です。 ただ技巧的で難解な作品を作ろうという思いはなく、ただただ力及ばずそうなってしまっています。 いつかすんなりと yamabito さんの脳内に入るような作品を作りたいなと思います。 励みになりました。
0こんにちわ。 お褒め頂き恐縮です。 特にこの作品は生生しいエロスを上品に美しく包もうというテーマで書きました。 お一人にでも伝わっているということは伝わる部分はあるのでしょうか。嬉しい限りです。 普遍的に伝わる明るく美しい作品をいつか作れれば、と感じます。 >点在するだろう花売りは に関しては受け手に委ねてみました。最後まで手直ししていた部分です。 解釈の自由がある作品が好きで、どうやって解釈の自由を自作品に挿入するかで悩みました。 その方が受け手に今必要な解釈が作品から得られるんじゃないかな、と。 雨野さんにとっての解釈が今、雨野さんがしたい解釈であることを祈っています。 コメント、ありがとうございました。
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