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冬の夜
ここに、思い出話を書いておきます。朝を待つ間に意味が変わってしまうので、詩ではありません。私達が生きている心の中の、言葉が生き延びられるような穏やかな場所は、小川が流れる青い花の咲く春の草地は失われてしまった後です。今は夕の枯木立が続く、下生えが吹きさらしになる不毛の乾いた荒野が一面に広がっています。 病なのだと人は言います。病なのであれば治すのが当然でしょう。しかし分かりません。行く先々で言葉が憎悪に満ちている訳が。平和で安全で幸福な所だと教わり、誰よりもそう信じて従っていたものを、いつも気が付くと意識をかっ飛ばして燃え尽きているので。病なのであれば治すのが当然でしょう。私も考えました。一切の言葉を失う程考えました。恐らく、あなた方がすべからく、そうして生きているのと同じように、目の前の絶望に救いを求めました。 悪意を何かと問われると、正しく答えるのは難しいことです。知識と経験を増やして、自分で理解するしかない。豪雨のように降り止みませんし、即座に判断しなければならないのは誰にとってもたまったものではないと思います。悪意は悪意、善意は善意、区別する作業が必要になってきます。日常とは繰り返しです。簡単にへこたれている場合でもありません。手遅れになる事への恐怖と戦いながら、傷が治る時を祈りながら待つしかないのです。 倒れ込んだ死体に息があるかどうか、確かめる為に脈を取るのは偽善なのでしょうか。どうか立ち上がって下さい、間違いだったかもしれませんが、私は夜道でそう思ってしまったことがあります。こんな下衆野郎の私でも死者が生き返るなら助けたいと思ったのです。ひどく疲れていましたし、凍えるほど寒い日ばかりで後悔もしていますが、たまには少々馬鹿なことも言った方が面白いかもしれません。それで、助かったのかって?さあ、どうでしょうね。聞いて下さって有り難うございます。これで私の話は終しまいです。
冬の夜 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 855.8
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2021-05-01
コメント日時 2021-06-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
コメントありがとうございます。 文章の誤りを直したいですが、 推敲すると本題も消し飛んでいく。 最後の語りは気に入っています。
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