浅い眠りに揺り起こされ
渋々目をあけた
朝が来ていたのに少し
がったりしたけど
もう一度、薄い毛布に
潜り込むのに目を閉じる
まぶたの裏の浅瀬に
片足をつっこみながら
谷川俊太郎の詩を
むにゃもにゃと咀嚼した
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているうちに
バトンを渡しに夢を渡るつもりだった
メキシコの娘が朝もやの中で
バスを待っているのを
腹を空かせながら眺めて
ニューヨークの少女が微笑みながら
寝返りを打つ傍らで食パンを齧った
ローマの少年が柱頭を染める朝日に
ウインクするのを見て
真似をしてみると両目を瞑ってしまう
バトンはいつのまにか手の中から
消えていて
遠くで鳴っているはずの
スマホのアラームも届かないでいる
なんてことはない
小さなリレーの失敗談である
気が向いたら
もう一度走ってみようか
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 1239.6
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-04-29
コメント日時 2021-05-01
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:1239.6
2024/11/21 23時31分22秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
「朝のリレー」ですね。オリンピックは雲行きが怪しいですが、世界は休まず日夜営みを繰り返すのでしょう。 うつらうつらする語り手の詩の一つになっている夢の様子がシュールな印象を残します。 >気が向いたら ゴールでもありスタートでもある朝日のような目覚めの最後の連も上手いと思いました。夢の力は侮れないなと思います。
1湯煙さんコメントありがとうございます。 谷川俊太郎さんの「朝のリレー」が好きで、そのリレーを見ている立場に立ってみたらどうするかな、と思いつきました。 たしかに夢の力は侮れませんね。
1