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餌やり
ばらの垣根の枝切りに 励む ご婦人のふくらはぎを食む 西日 格子の窓から 焦がしにんにくが誘う 独言ついでに落っこちた あめ玉 ほら見れ 群がる蟻んこの隊列 ピューラックスに希釈されるせいかつ 隠したままの表札 鴉につつかれ飛び散る生ごみ たまごの殻を集めるわたくし そうめんを啜る 親父はダンゴムシの世話に勤しむ 猫背をつたう 餓鬼んちょの負けん気が鼻腔をくすぐる だからぎうっと、 握ってやった 剥き出しのげんこつ はらわたに染みついたげんこつ
餌やり ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 809.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-09-18
コメント日時 2017-09-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
幼少の頃、転んだ勢いでオルガンの椅子で口を強打し、前歯を全部失ったことがある。その時にあめ玉が私と一緒に床に転がっていたことを憶えている。泣きながら私は、あめ玉を握っていた。そんなことを思い出した。 「あめ玉」と「剥き出しのげんこつ」、この二つの言葉が示すもの、それは、なんというか、「本能的なやり場のない気持ち」みたいなものではなかろうか。本作を読んでそう思った。その気持ちを平たくいえば癇癪ともいうのかもしれないが、少し違うようなもの。
0三浦果実さま 「本能的なやり場のない気持ち」 なるほど癇癪とはニュアンスが異なりますね。 食事の世話を、ふと、餌やりと同列に感じる瞬間とでも言いましょうか。 口にはもちろん出せずとも、突然湧き起こってしまう考えなど。 いろいろな思いに振り回されて、それでも一日の終わりには「げんこつ」を包んであげたいと思う。 思いたいのです。
0いろいろな角度感覚から感想がもっとあっていい作品かと思いますが。はらわたに染み付いたげんこつは面白いですね。電信柱に染み付いた夜なんて歌詞が昔の歌にあったのを思い出したり。 ‐鴉につつかれ飛び散る生ごみ ‐たまごの殻を集めるわたくし ですか。韻を踏んでいたりして音からも面白く感じられる箇所ですね。明け方の繁華街の白々しさなんかがよく表れているようにも思いましたが。
0〈ご婦人のふくらはぎ〉に見入る視線と、〈焦がしにんにく〉が醸し出す欲情・・・西日が、ふくらはぎにあたる。それを、西日が食んでいる、と感じる語り手の視線。強い性の欲望というよりは、犬が遊びで噛むような、戯れに似たかるい欲情の生起を一連に感じました。 〈群がる蟻んこの隊列 ピューラックスに希釈されるせいかつ 隠したままの表札〉 この脚韻的な軽さが面白いですね。消毒液で消毒されていく生活、それは、ふと浮かんだ欲情や、個人の名前、個性、そうした諸々を希釈していくような生活、ということでもあるのでしょうか。 その、希釈され、消毒された日常、を、突き破りたい(破壊したい、ということではなく)そんな意志を込めたようなげんこつ、その強さを感じました。
0湯煙さま 調べてみました。 BOROさんの『大阪で生まれた女』ですね。 歌詞が21番まであり読み応えがありました。ありがとうございます。 詩作の過程で音読を繰り返しているので、「音からも面白く感じられる」とのお言葉をいただけて嬉しく思います。
0まりもさま 一連目の解釈、とても新鮮味を持って受け止めました。 男性でも女性でもふくらはぎに目がいきます。 腓腹筋は力こぶになり過ぎない方がいい。 足首はきゅっと、カモシカのように締まった方がいい。 ランナーよりもロードレーサーが好みです。 それから次亜塩素酸ナトリウムをバケツで薄めていると時々、どっちが薄まっているのやらと思うことがあるのです。
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