十八年しか生きていなかったけれども
あの時僕はすでに無関心に囚われていた
恋に関してさえ
握り返すべき温かい指であったのに
僕の指にはそんな熱情は湧かなかった
あの子は傷ついたことだろう
四季のすべては怒りの季節
いろいろなものが何色かに美しく染まり
去ってゆく
僕らは生きてゆく生き物
でも死んでゆく生き物
十年 二十年 三十年
僕らはさまざまなものを手に入れ
人と縁を結び
使い古し
あとに残して死んでゆく
雑貨や車やマンションや
何やかやと僕らは買いつける
でも満ち足りるのも束の間
意味とは希薄な空気のようなもの
いつでも僕らは酸欠に苦しみ喘いでいる
十八歳にして無関心
しかしあれから僕は人並みの関心を取り戻し
人の役にも立った
愛し愛された
叶った夢 破れた夢
関心のあるところに意味は存するのだ
十年 二十年 三十年が経ってゆく
時代を守る者
時代にしがみつく者
時代を譲る者
どんなにしても僕らは生きてゆく
そして死んでゆく生き物
四季のすべては怒りの季節
けれど末期の季節だけは
笑って過ぎ越せる季節ではないか
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 1527.4
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作成日時 2021-04-09
コメント日時 2021-04-13
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 23時10分02秒現在
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作中で使われている 四季のすべては怒りの季節 というフレーズが印象的です。 人に対するなにがしかの想いを感じます。 最終連の末期の季節、の対する描写に対しては、僕はこう思うと、ぱっと言えない感じがします。 叙情的な描写に、身に迫るような 迫力を感じます。
0お読み下さりありがとうございます。 この作は叔父の死にあたり思ったこと考えたことを合成して出来上がりました。青春の苦い思い出から別れの時の気持ちまでを書いてみました。身近に多くの死を経験しましたが、どの場合にも湧き出た涙には自らをして優しい気持ちにさせる純粋に笑いに近い気持ちが含まれていたように思います。まだ私は本当に無念の死に遭遇したことがないのかもしれません。 四季のすべては怒りの季節。怒りはいろいろな感情のうちで最も端的に激しく動的なものだと思ってこういう表現を取りました。怒りによって季節と季節との間に区切りがつき、次の季節へと移ってゆく、そんなニュアンスです。 人生は多事多端、忙しく、またそこに喜びもある、そうこうしているうちに時は経ってゆく、代も変わり、死は順にめぐってくる、告別の時、願わくはすべての人が優しい芬芳に包まれますように。
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