どこからも遠い、ここへ
千々の波音にあらわれてたつひとよ
雲のようにおおくの面影をうつす
あなたへと伸ばされる
わたしの影、暴きたてられた白き砂、
だが今ここに在らざるひとよ
空は切り取られた、孔のような色をして
わたしたちをもつれさせ
あなたをほぐしていく
あまたのさざなみのささやきは
担うにはかるく、放り投げるにはおもい
宙ぶらりと浮く白い月だ
月と手のうちの悠久という近しさを
海とよんでしまえたなら
そしてその泡と波をかきわけて
断崖の彼方から伸ばされた
白く細いかいなを握りしめられたなら
わたしたちは今ここに在った のだろうか
眠っているのだろうか
あなたはその白い額をあらわにし
多くの隔てられたものたちがそうするよう
夜光貝のように夜の重みに身をまるめ
そよ風の在るところを思いながら
眠っていたのだろうか
波はあなたの浜辺から
わたしの浜辺までをつなぎ
わたしたちは互いの額を水面につけ
だが今ここに在らざるひとの白き手が
かき混ぜる波はレコードのように
夜をつないでわたしたちを巡る
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 1196.4
お気に入り数: 3
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2021-04-01
コメント日時 2021-04-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
閲覧指数:1196.4
2024/11/21 23時15分23秒現在
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あ、これ好きです。 意味はまだ分かりません。 何のジレンマなんでしょう? ちょっと考えるのはやめて、しばらくはこの言葉たちにまみれていたいです。
0ありがとうございます。在らざる人に向けての愛、というジレンマでしょうか。過大なお言葉嬉しく思います。
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