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卒業後日譚
毬をつきつきし 無味乾燥な夜だ 紅茶があるなら紅茶を淹れ お砂糖をドバドバ 真っ黒な鍋底を透かしたようなお空も 赤茶色になれば味がでる 白すぎる鳩胸が トボトボ揺れる寂し気な影を映しこんだまま 朝日を出迎え どうにも堪らないという具合に 生ぬるい浮遊の層に漂流する型なしのゼリーに成った イキイキとした鮪や鰯の群れなどが 横を掠めた折に 調子良く上ってみたり 底なしに落っこちてみたり 季節の終わりの鴨脚のように 運動場で戯れている 彼のトレーニングシューズは擦り剥けて 其れは美しかった てん、てん、月が、 毬突き娘のお空に、 白く濁った月が、出ていますよ ネエ、何か云って呉れませんか 砂まみれのクラゲには成りたくないのです 春眠暁を覚えず、とはいえ トロトロと鬱ら鬱らしている間に固まっては仕様がない たとえば海由来の 羊羹ほどの甘い夜なら ミッチリ寄せても良いが やっぱり西洋風にゼリーが好い 食用花なんかをぎゅうぎゅう詰めて 冷たくしてくれたら オフィーリアとタグを付け インスタグラムに載せるのだ ところが、わたしは すっかり溶けたネコだった サンホの頁をめくるような心地で 浮かれきっていた イースターはまだ先なのに キウイフルーツを入れてしまった それでモウ形無しの 例のクラゲのようにあられも無い姿に成り果てた あんなに毛むくじゃらの 卵じみた果実は入れちゃいけない 皮までそっくり剥いて 羊羹なら万事良かったのでしょうけど ゼリーの胎にいれたら 忽ち破滅だ 今度こそ本当に、 どうにもならない有様で ちぎっても、ふやかしても どこまでも味の無い夜に成った 塩辛い海のことを こんなにも忘れてしまうものなのか知ら 原本行方知らずの申請用紙に記名をして 移殖完了とでも仰るの てん、てん、手毬 ネエ、月が、 白く濁ったのが、出ていますよ アナタ、何か云って呉れませんか
卒業後日譚 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 860.5
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-03-29
コメント日時 2021-03-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文