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時の旅人
卒業式では最後に合唱をして、別れる事になっていた 急な坂のある新校舎前 卒業式の日だけ、病気でもどうにか 足を引きずって登校した私は 教室に入るなり 「練習に出た回数が足りなさすぎるから 一緒に歌わせてはやれない」 と 教師に追い出された 扉が閉まる冷たい音だ 馬鹿だな 同じ歌を歌えたって、何が変わるものか あの人はきっと笑顔で、東京の大学へ行くのだ 登校日数も偏差値も足りなかった 同じ歌も歌えなかった 私は足を引きずって、母校の大きな時計の前へ向かった 合唱が終わって、体育館から出てくる あの人にせめて 逢いたかった 馬鹿だな あの人に逢ったからって、何が変わるものか あの人はどうせオルゴールの中の人になるのだ 記憶から取り出して 回した時だけ、同じ言葉を繰り返す様な 同じ微笑みを繰り返す様な それでも、どうしても逢いたい、逢いたいと 足は心に引きずられ 泣きながら、急な坂を上ったり下りたりした そんな どうしようもない夢を見た朝
時の旅人 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1459.9
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 5
作成日時 2021-03-20
コメント日時 2021-04-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 4 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.3 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.7 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
夢オチかとおもいきや何も「夢」を見ただけで、経験をしてないとは言ってない、過去の記憶が呼び覚ました夢かもしれない。そうすると夢の中まで現実に支配されていることになるまさに「どうしようもない」あと「時の旅人」は私も大好きな合唱曲です。
0どこからどこまでが夢なのか?それが語られていないおかげで、語り部が真実のみを語っている訳ではないことが明確に提示されていて上手いなと感じました。 信頼できない語り手、好きです。
0福まるさん、いつもコメントをありがとうございます。 「時の旅人」というタイトル自体が、合唱曲の名前ではあるのですけれども、「過去にタイムスリップした」という意味合いで使いました。 夢にまで、未だに出て来る忘れられない思い出なんですよね。
0沙一先生、的確なご指導をありがとうございます。 この詩はストーリー自体は、なかなか良いと思っていたのですよ。ただ、その他のどこかに何かが足りない。何かは、分からない。 文章が、小説みたいなんですね。だから詩としての魅力に欠ける。詩が詩として際立つような書き方が出来るように、努力します。
0白川ロイヨさん、コメントをいつもありがとうございます。 私も最初から気が付いていたんですよね。学校の前に急な坂は普通は無いじゃないですか。これは、夢の部分なのだろうと思います。夢と、過去の体験とが、混ざってしまっている詩です。 そして、信頼できない語り手(笑)。あえて、語らなかった部分が多かったように思います。
0〈オルゴールの中の人〉回した時だけ、同じ言葉を繰り返す様な、同じ微笑みを繰り返す様な。こんな表現ができるんだ、表現がおもしろいと思いました。〈そんな どうしようもない夢を見た朝〉この詩は次の朝に続くと思います。続けれるのは作者だけだと思いますが。
0わたしもさん、コメントをありがとうございます。 これは、何でその時自分は、オルゴールだと思ったんでしょう。人の脳って、不思議です。おもしろいと言って頂けて嬉しいです。作者でも詩の続きは、よくわかりません。
0ありふれているかと思いきや、オルゴールのループな動きに着眼しているのに感心しました。 私は思いつきませんでした。 しかし、この繰り返しは切ない…。 自分が大きく変わらない限り、聞こえ方も違うのでしょうが、大きく変わるともう聴かないのでしょうね。
0コメントをありがとうございます。 確かにオルゴール以外の部分は普通の文章になってしまったかもしれないけれど、そこがうまく言えていたからこの詩を気に入って投稿しました。投稿前にある人に見せたら、その人は泣いてしまったんです。それだけの破壊力のある詩なのだと自画自賛で、思っています。 オルゴールって、いつまであるんでしょうね。文明がもっと発展した10年後には、もう捨ててしまうかもしれない。オルゴールを知っている人も、いなくなるでしょう。私はもうこの時の気持ちを、覚えていません。
0記憶のひとなのですね。
0コメントありがとうございます。 そうなんです、記憶のひとです。「時の旅人」というタイトルで、ある程度推測ができるようにしてあります。
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