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サバンナに口紅を
サバンナの光と液 半粘性の液がとくとくと垂れ流れている 青緑の、今は白反射な広野に透き緑な液が注がれている 心地よく伸びる地平線に赤若い太陽は沈もうとしていて 斜度の低い残光が針としてサバンナを走り抜ける その針が地を漂白してまぶしい、太陽も地もその日の終わりに輝いている 美しい、上へ下へ広がっていく空間もまったく美しくて 美しくて、美しくて、気持ちがいい 流れる液体は動物たちであった ゾウもキリンも、今日はもう終わりなので自ら溶けてしまったのだ それぞれの背丈から湧き出る瑞々しいとろりとしたうるわしい緑の液体 見るだけでもひんやりとしてくるそれが大地を潤していく 太陽がてっぺんのうちはライオンもカバもめいめいに動き回っていたけれど 日が終わるころにはどの動物もその場に立ち止まって サバンナの荒い木のよう体を溶かし液体に変わって流れていく とくとくとリズムよくすがすがしい液体翡翠 傾いた太陽からの光がそれを通過して刺さるのも気持ちがいい 目の前にアカシアの木はなく 滑るように心地よく地平線が伸びていてもはや快感そのものだ 上から流れ落ちる液体の中で私は潤っている たぶんこれはハイエナだった液だ、なめらかに私の縁を流れていき 私が立つ、少し粘りのある緑色な液体が垂れていくこの大地も潤っている 今日はもう白く焼けきった、カラカラな草も潤ってきれい 透きとおる液体に包まれて私もやわらかくなっていく この中から見る沈みかけた太陽は宝石のようですごくきれい 美しい、美しい、なにもかもが美しくてきれい 太陽が昇れば動物は動き出して淵 一日がまた始まるのだ サバンナから「つ」と「も」を引けば サバンナの光と液 半粘性の液がとくとくと垂れ流れている 青緑の、今は白反射な広野に透き緑な液が注がれている 心地よく伸びる地平線に赤若い太陽は沈まんとしていて 斜度の低い残光が針としてサバンナを走り抜ける その針が地を漂白してまぶしい、太陽と地それぞれが今日という日の終わりに輝いている きれいだ、上へ下へ広がる空間さえ非常にきれいで きれいで、きれいで、心地よい 流れる液体は元来は鳥獣たちだ ゾウやキリンたちが、今日は終わりとなるから自ら溶けたのだ それぞれの背丈から湧き出る瑞々しいとろりとしたうるわしい緑の液体 見るだけでひんやりとしてくるそれが大地を潤していく 太陽が真上のうちはライオンやカバなどはめいめいに徘徊していたけれど 日が終わるころには鳥獣すべてがその場に立ち止まり サバンナの荒い木のよう体を溶かし液体と化して流れていく とくとくとリズムよくすがすがしい液体翡翠 傾いた太陽からの光がその中を通りそして刺さるのさえ心地よい 目の前にアカシアの木はなく 滑るように心地よく地平線が伸びていてさながら快感自体だ 上から流れ落ちる液体の中で私は潤う最中だ たぶんこれはハイエナ由来の液だ、なめらかに私の縁を流れていき 今日は既に白焼した、カラカラな草でさえ潤うのできれいだ 透き通る液体に抱かれて私はやわらかさを得ていく この中から見る沈みかけた太陽は宝石のようですごくきれい きれいだ、きれいだ、すべてが麗しくてきれい 太陽が昇れば鳥獣は動き出して 一日がまた始まるのだ サバンナから「お」と「を」と「か」を引けば サバンナの西日と液 半粘性の液がとくとくと垂れ流れている 藍緑の、今は白反射な広野に透き緑な液が注がれている 心地よく伸びる地平線に剥けたてな太陽は沈まんとしていて 斜度の低い残光は針としてサバンナじゅうで独走する その針が地まで漂白してまぶしい、太陽と地それぞれが今日への弔いで凜となる きれいだ、上へ下へ届く認識さえ非常にきれいで きれいで、きれいで、心地よい 流れる液体は元来は鳥獣たちだ ゾウやキリンたちが、今日は終いなのでそのままより溶けだしたのだ それぞれの背丈の先より湧き出る瑞々しいとろりとしたうるわしい緑の液体 見るだけでひんやりとしてくるそれが大地まで潤沢にする 太陽が真上のうちはライオンやカバなどはめいめいに生動していたけれど 日が暮れるころには鳥獣すべてがその場に立ち止まり サバンナの荒い木のよう身とろけ液体になり流れていく とくとくとリズムよくすがすがしい液体翡翠 くたびれた太陽由来の波が翡翠に刺さるのが心地よい 目の前にアカシアの木はなく 滑るように心地よく地平線が伸びていてさながら細動だ 上より流れ垂れる液体に入り私は潤沢していく たぶんこれはハイエナ由来の液だ、抵抗なく私の頬や足まで沿って流れていき 今日はすでに白く焼き切れた、カラカラな草でさえ命が満たされていく 液でぼやけながら見る閉じ際の太陽は宝石のようですごくきれい きれいだ、きれいだ、すべてが麗しくてきれい 太陽が昇れば鳥獣は動き出して 一日がまた始まるのだ サバンナから「き」と「る」を引けば 西日照るサバンナは潤って とくとくと流れていく半粘性の、藍緑の 白反射な広野に広がった、注がれた、緑 心地よい伸びの地平線に剥けたてな太陽は沈まんとしていて 針になった斜度の低い残光が走っていくサバンナ その針が地まで漂白してまぶしい、太陽と地それぞれが、凛と離れゆくこの日への弔いだ 喜びだ、上へ下へ心は自由に跳ねて 喜びだ、喜びだ、心地よい 鳥獣たちが流れたのだ ゾウやシマウマたちがはこの日の終焉に面し、そのまま溶け出したのだ それぞれの背丈より湧いた閃くみずみずしいとろりとしたすばらしい緑 見て冷えてそのまま大地が喜んだ 太陽が真上のうちはライオンやカバなどはめいめいに生動していたけれど 日暮れに合わせ鳥獣すべてがその場に立ち止まり サバンナに刺さった釘のように身とろけ流れていく とくとくとリズムよくすがすがしい翡翠の軟体 くたびれた太陽由来の波が翡翠に刺さってほんとにうれしい 目の前にアカシアはなく 滑って笑って地平線は伸びてさながら細動だ 垂れ流れた内に入り私は潤沢していく たぶんこれはハイエナだった、抵抗なく私の頬や足まで沿って流れて すでに白く焦げて果てた、カラカラな草でさえ命が満たされていく ぼやけながら覗いた、閉じ際の太陽が命のようでうれしい 閃いて、うれしくて、すべてが喜びでうれしい 太陽が昇れば、鳥獣は、一日は、また始めて
サバンナに口紅を ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1723.0
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 5
作成日時 2021-03-13
コメント日時 2021-03-27
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 1 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 1 |
総合ポイント | 5 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 2.5 | 2.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
本作品は筒井康隆『残像に口紅を』のオマージュです wiki ↓ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%8B%E5%83%8F%E3%81%AB%E5%8F%A3%E7%B4%85%E3%82%92 amazon ↓ https://www.amazon.co.jp/b/ref=books_matome?node=5431437051&pd_rd_w=WYlEP&pf_rd_p=0a91dedb-ccbf-40b6-9cda-5585ece3b288&pf_rd_r=EHDGDNTECPM4R0FMXW3F&pd_rd_r=3360db40-7e68-48ab-aca1-928165c9d834&pd_rd_wg=ooWZK 拙作「サバンナの光と液」https://www.breview.org/keijiban/?id=2001 をひらがなにし、使用数を調べたところ ①い 60 ②う 41 ③た 37 ④し 35 ⑤く 33 ⑥の 32 ⑦て 31 ⑧か 28 ⑨き 28 ⑩つ 28 aが 26 bる 24 cは 22 dも 22 eな 21 fち 19 gれ 19 hお・を 17 iん 17 jり 16 kえ 15 lと 15 でした。そこから①~lをランダムで2個×3組抽出し、「つ」「も」、「お・を」「か」、「き」「る」を順に消していくことを決定、書き換えたのが今作です。
0うわー、最後の作品のタイトル、「西日照るサバンナは潤って」だけど「西日照ったサバンナは潤って」の誤りー!!
0動物たちの「液」って汗や体液のことでしょうか?なぜか中島みゆきさんの「時代」を思い浮かべてしまいました。
0福まるさん この詩、というか私の詩はそれが何かの暗示でなく、それをそのものとして読んでほしいです。
0[それをそのもの」として詠んだ結果・・・すいません正直良く分かりません。ただ詠みおわったあと少し爽快感がありました。
0yamabitoさん 使える音が限られていくため表面的には少しずつ違っていますが、指し示すものは変わっていないので、その内面での同一がビートになっているのかもですね。内在律、とは違うだろうけど。
0先に謝っておきますと、筒井康隆の元は読んだことありません。 この作品はこれでもか!これでもか!ってほどに強制的に訴えかけてきて(特に視覚)、頭が痛くなる程です。 音も色も、内容が同じなのに4回も手を変え品を変え繰り返されて、まるでレ◎プの様です。 実験のようでいて、シンプルに、美しいサバンナの風景と息遣いだけが心の中に残りました。 意味は解らなかったけど、それでもいいですか、いいですよね、うん。
0夜野群青さん この作品は同一のイメージを、それを表す道具である言葉に制約を与えつつ何回も模倣したわけです。 同じイメージなのにずれが生じてくるのは想定していなかったのですが、嬉しい誤算でしょう。
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