別枠表示
青年空間・瞬間少年・愛撫
厨房の一隅で 反復横跳びを繰り返す俺は 蛇口から垂れる 鶏卵の硬質な独り言に 入門したての砂時計を握られ 思わず頬を赤らめる 柔軟な円筒が 奏でる呼吸音は 足裏の空騒ぎを ひるみがちな座標軸に直交させる 故郷からの手紙にも似た 赤ん坊の鼓膜の薄片だ 川魚の秒針にさえ呼応する ささくれ立った俺の触角は ガラス窓の右隅と同質な 店の一人娘の内腿に解放した 笹舟と言う名の噂話で もちきりで 到達を拒む運動が たった一人の兄を媒介に 朝靄の長蛇の列に沈黙を強制した ビー玉を口に含んだ感触 残飯から滲み出す 瀕死の流星群は 北北西の腋の下へ黒猫をすべり込ませ 排水溝経由の糸電話を奪い取り 純情な液体を舌先で絡めとる 反復せよ 横跳びせよ 反復せよ 横跳びせよ 反復せよ 横跳びせよ サヨウナラ 俺の抜け殻
青年空間・瞬間少年・愛撫 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 889.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-09-12
コメント日時 2017-09-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
タイトルが目を引いた。 内容は通過儀礼に対する男子特有な内証を得る話なのだと思う。あるいは、内証としての射精をメタファーとして持たせてる感もある。平たくいえば純情について、となるのかもしれない。「反復せよ」のリフレインが表意としての運動、隠喩としては性行為とも読めてしまえるように、語りの軸としてのシナリオを折り込まれた仕掛けもあるのかもしれないと、思った。
0コメントをいただき有難うございます。 若くて濃い精液の匂いを嗅いでむせかえるような感覚を書いてみようと思った結果、このような形になりました。 現在と比べて、(笑ってしまうほど)純情だった頃の自分について書いたパロディのようにも思えます。 *タイトルは「週刊少年ジャンプ」のもじりです。
0硬質なメタファーが、ほぼ一行ごとに連続していて・・・これはいったい、何を伝えたいのだろう、難しい、と思いながら三浦さんの評と、ウエキさんのレスを見て、はあ、そういうことか、と了解しました・・・理解した、とは、言えないですが。
0ノスタルジーとエロが混ざって、ぐるぐると回っているような……そんなイメージです。 どうかあまり難しく考えないでくださいね(_ _)
0ウエキさんはじめまして。 タイトルの「瞬間少年」という言葉が好きです。たぶんこの詩を書いている、あるいは書き上げた瞬間だけウエキさんは少年に戻っていたのだろうなと思えて。
0こうだたけみさん、コメントをいただき有難うございます。 少年はその瞬間を生きているときは、自分を少年と自覚していないのではないかと僕は思っています。 成長し、振り返ってみたとき、「あぁ、あの時の自分が<少年>だったのだ……」と気づくものではないでしょうか。 その意味で、ここに書かれた<瞬間少年>は性を生きる青年・大人のフラッシュバックとしての存在です。 そして、そこには決して戻れないある種、諦念のようなものがあると思うのです。
0ウエキさん、返信ありがとうございます。 「少年はその瞬間を生きているときは、自分を少年と自覚していないのではないかと僕は思っています。 成長し、振り返ってみたとき、『あぁ、あの時の自分が<少年>だったのだ……』と気づくものではないでしょうか。」 これを読んでとても驚きました。私は女性として三十余年生きてきましたが、「女の子なんだから」「おねえちゃんなんだから」と育てられてきたのか幼稚園に上がる頃には、少年の対になる言葉としての少女という言葉は知らなくとも、自分は女の子なんだという自覚があったように思うからです。 「その意味で、ここに書かれた<瞬間少年>は性を生きる青年・大人のフラッシュバックとしての存在です。 そして、そこには決して戻れないある種、諦念のようなものがあると思うのです。」 ここまで読んで、一つ思い出したことがあります。職場の同僚とご飯を食べているときに、彼女は「最近子供にばっかり目がいくんだよねー。子供って未来の塊っていうか……」というようなことを喋っていました。「未来の塊」という表現はそんなにめずらしいものではないのですが、私はこのとき、「私が未来の塊でなくなったのはいつからだろう」と思ってかるく衝撃を受けたのでした。 ウエキさんのおっしゃる<瞬間少年>のイメージには、この「未来の塊」みたいな要素が少なからず入っているのかなと、想像してみました。 お話しできて、とてもよかったです。
0