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眠っている
土偶が眠っている 小さく白い布の上で 大きな目を完全に閉じ もう開く事がない 足がなく 顔が傷つき 祈りのような紋様を刻み込まれながら 何もかも役割がなくなった 流産の胎児を思い起こさせる その子は体毛はなく 粘液でぬめり てかり 黒い模様だけが体に描かれていた 目は開く事はなく 口だけは半開きのまま 閉じはしない 眠っている 不完全な体で 土偶は眠っている あの子は流れ産まれでてきた 土偶はそこにいる あの子は処理してしまった 土偶は土の中から出てきた あの子は母親から出てきた 土偶は透明ケースの中 あの子は土へ帰っていった 展示されながら もう見る事は決してない 眠り続ける 眠り続ける 土偶は眠っている 胎児の様に小さく 眠っている
眠っている ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1422.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2021-03-07
コメント日時 2021-03-19
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
一応、補足を。 自分が見たのは、流産したホルスタインの子供です。
0暗くて表現が平凡なので悪い意味で詩っぽいです
0暗いのは否めないですね。 ただいくつかの土偶を見た時(少し具体的に言うと八戸の是川コレクションのいくつの小さめの土偶とつがる市のカルコにあった肌色の少し欠けた土偶)にそのような連想が働いてしまい、表現したくなってしまいました。
0「土偶」にもしも意思があったらこの詩を喜んでくれるでしょうか?私は「へえ。人間にもこういう感性を持っている奴がいるのか」って思っているような気がします。
0確かに! 悪意なくこういう事を考える奴もいると、許してもくれるかと思います。
0胎児が生を得る前に死に、土へ帰ることは特別なことでなく、古代にはより多く起きたことでしょう。土偶が祭儀的役割を終え、サンプルとして展示される様子と流産した胎児の存在を重ねることで、そうした多くの死が積み重なった土によって土偶ができていることが思い起こされます。土偶がもう一度生き返るのは透明ケースが割れて、また風化をし始めるときであり、人間文明の鎮魂をほかの人工物とともに始めるときかもしれません。それに思いをはせた時に、人間とその思いが生み出すものの時間のスケールの違いに打ちのめされました。それを思うと最後の3行には希望すら感じます。
0哲学者の梅原猛の考察では妊産婦と共に土偶は埋葬されたのでは、とありました。 実際妊娠線らしきものが刻まれているものが大半です。 土に戻り、その土から作られた土偶にそう言った想いを乗せた可能性はあるかと。 土偶がもう一度甦えるのは透明なケースが壊れてから、と言うのは驚きましたが、確かにそうですね。 鎮魂のために今は眠っているかもしれません。 感想、感謝です。
0主観的な感情の一切が廃され、描写のみに徹して居ることで、逆に作者の祈りのような思いが浮かび上がって来るように感じました。素朴といえば素朴な詩ですが、私はとても好きです。
0以前目にしてしまった流産の子牛と展示されている土偶がどうにもオーバーラップしました。 子牛にも土偶にもあまり感情を入れた書き方をするのは良くない気がしたのはあると思います。 祈りと言う面はありました。 好ましく思えたのは幸いです。
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