暴盗 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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暴盗    

絡みつく窓が騒々しい空輸機へ燦然と機関砲を放ったのは何時のことであろうか,雄鶏は孔雀の真似をして珪石の密室に脇腹を割かれていたのであった, 憤懣の巖が懐かしい,轟き亙る空爆警報のなかで最初の殺人が行われたのは8月の蛇骨峠のことであった, 運行停止の列車群,そして電柱に燃え広がった少年の鉄釘色の襯衣は哀憐の情を誘っては矢継早に代償を償ったりはしないのだが, その喉笛が刑務官を苛立たせる時に限って花の釣瓶落としに倣って、血の首を抱えているのだ, 理由の無い死が何時何時訪れるやもしれぬ柱時計の応接間にあって,観覧席の取澄ました葉菜類達に欠けているものは何か, その理髪店それから衣裳貸の資産をくすねる事は,甚だ据付の製図机に磔柱像を直視する程に容易な事ではなかったが, それらの分け前は半ポンドの人肉を以てしても足らぬものであって,悪魔は屹度デュカス史の入れ歯よりは軟弱な者であったのだろう, 郵便受の手首は花の鍵を回し,男娼たち娼婦たちの要らぬ蔑称を讃えているのだ,手紙は件の空輸機からばら撒かれた物であって, 即ち劇俳優の筋骨に支えられた背骨に一突の剃刀を引くよりは製油工場に近しいものであったのかもしれない, 近代は銀行強盗者の鞄から精製糖の血を溢れせしめて,豹変した薔薇は縛り首の花を緩ませる,ただそれだけのことだ, それにすら死する肉体もあるが,一寸の扉はやはり綴れ草の錠前に閉じられており, 日本人形にも血の影が差す夕べには決って露西亜やチェコの倹しい風雪を匂わせるあの石油販売車が廻り回って,この監獄にも訪れる事となるのだ, 懐かしく子供染みた遊び,藁の背丈を越えることは決して無い百合の根の深い森,鹹水はそこから潤沢な運河を遡って,華に汚れた共犯者達の首を数えるのだった.


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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 839.3
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2021-03-02
コメント日時 2021-03-02
#現代詩
項目全期間(2025/04/14現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
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叙情性00
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閲覧指数:839.3
2025/04/14 13時56分43秒現在
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