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距離
凍るような闇に おおわれている もう先が見えなくなっている わたしは手さぐりで 広い歩道にでるが そこには夜はない 誰もいない路上 灰色の靴音を ききながら歩くと その乾いた響きのなかに はじめて 夜が生まれる 街路灯が わたしを照らして 影をつくっている その蹲るようなわたしに しずかさはない わたしが影のなかに 街路灯のひかりを見つけたとき その距離の間に やがて しずかさは生まれる 木々にとまる鳥が 眠りにつき 霧でかすみをふかめている わたしは湿った呼気で 手をあたためる そして 寒さに耐えるために 強く 公園のブランコにゆれるとき わたしは ただひとり孤独を 帯びるだけだ わたしの背に 聳えている街は 脈を打ちながら いつまでも高々として わたしを威圧して 夜をつくり そして しずかである
距離 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 931.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-09-05
コメント日時 2017-09-22
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
4連目までは、硬質な詩型から、内奥を深く洞察せざるを得ない緊張感が伝わってきて心地良かったです。 ただ、5連目以降、同じような内容を伝え過ぎていて、やや冗長と感じました。 もっと思わぬ飛躍(その場から離れて)があった方が、より抒情性が深まったのでは? >わたしは ただひとり孤独を >帯びるだけだ 特にこの2行はいわずもがな、なのですが、徒に同じ情景に追い打ちをかけているだけのように思えました。 ただ、前半の緊迫感、抒情性など、力作ですね。
0こんにちは。花緒さん。 一連目の異次元と、二連目以降の日常性が乖離 していると、いうことですね、 一連目は、いきなり手探りで行く暗闇を、夜ではないと、 言ったところに違和感があったのかなと思いました。どう見たって夜ですからね。 それを言わないで、夜じゃないといっている、詩の始まりだな、と思っていただければ 良かったのかなと思いました。 でも、そこが異次元と感じたのかもしれませんね。一連目は 題名の「距離」ということを言うには、必須な部分なので、 僕としては、とても重要な部分なのです。 この詩は、僕が、多分、初めて、厳密な構成で詩を書いたものです。 夜の否定、肯定、しずかさの否定、肯定、 展開部分、夜としずかさの肯定、という 構成で書いてみました。 ご批評、有難うございました。 こんにちは。白島さん。 「ただ、5連目以降、同じような内容を伝え過ぎていて、やや冗長と感じました 」 5連目は、はじめて、「わたし」が周りの状況と、行っている行動を 述べているのです。とても、大事な部分です。同じことは言っていないのですが。 「>わたしは ただひとり孤独を >帯びるだけだ 特にこの2行はいわずもがな、」 こころの吐露をして、生身の人間を表現したかったのです。 そして、ここでは、そういうものは、無力であるという事もです。 いわゆる、そんな情景や感傷めいたものは、「街」「夜」「しずかさ」によって、 つまり6連目によって、一瞬のうちに粉々にされるものなのですが。 「もっと思わぬ飛躍(その場から離れて)があった方が、より抒情性が深まったのでは」 ですが、留まらなければ、多分、私が言いたいことが、言えなくなってしまうと思ったのです。ただ、飛躍ということですが、この詩で、いままで、なぜ、そう思うのかに, 「街」という言葉を出して、新たな段階に入っていくように飛躍しています。 この詩は、これ以上削ぎ落としたら、詩が破綻するくらいそいでいるので、 無駄な言葉は書いていないと思いますが。 「ただ、前半の緊迫感、抒情性など、力作ですね。」 おほめ頂き、ありがとうございます。 丁寧なご批評、ありがとうございました。
0こんばんは。 暗く静かな夜の、街や公園、冷たい街路灯の光の中に佇むときの孤独が、巧みに描かれていると思います。 その心情がありありと、心の中に浮かんできます。
0初めまして。 スーッと真冬の森を連想されるような始めの連では、 一瞬どこかファンタジーを感じられました。 「わたし」の孤独、そして心が揺さぶられている様を、風景や動物を取り入れつつ丁寧に纏められている作品だと思います。
0前田ふむふむさん、こんにちは。 「凍るような闇に」に導かれて「そこには夜はない」。 (初連は「夜が」ではなく「夜は」なのですね。) 詩的な屈折感的な素敵な感覚を味わえました。 第2連と対比的であると同時に全体に対する導入部分とも感じます。 「しずけさ」ではなく「しずかさ」であるのも面白いです。 第3連と第4連が特に好きです。 第4連に「距離」という言葉を使わない方が更に好きになったかもと思います。 第5連は「そして」以降を別連とした方が個人的には読みやすいと感じます。 素敵な詩を有難うございます。 たいして詳しくないので失礼があるかもしれませんが、感想を書かせていただきました。
0こんにちは。m.tasakiさん わー、イメージが浮かんできたのですね。 うれしいです。 私が、深夜散歩したとき、の様子を詩にしたのでした。 ご批評有難うございました。 こんにちは。Amagasasasiteさん、 ご批評ありがとうございます。 フアンタジーを感じるという、ご批評、大変新鮮に受け取らさせて頂きました。 また、こころの揺れ動きを感じて下さり、ありがとうございました。 こんにちは。宣井 龍人さん、 ご批評有難うございました。 「しずか」「しずかさ」という言い方は、 僕が、その散歩の経験でイメージとして感じたものが、 一般的にいう「静か」「しずけさ」というものと、少し違うので、どう現わしたら いいのか、考えて、「しずかさ」という言い方になりました。 これは、僕の主観的な感じ方だったのです。 そのほかも細かに読んで頂き、ありがとうございます。 ご指摘は、貴重な参考とさせていただきます。 ありがとうございました。
0同型のリズムを繰り返していく、古典的な安定感、美しさと、その展開に含まれる発見や驚きの意外性を、どう調和させるか、というような問題を感じました。これは、この作品に関するもの、であると同時に、他の作品の場合にも問題になることだと思います。 闇、なのに、夜、ではない。その断定の不思議に、作者の「詩情」というのか、発見がある。 そして、視覚敵に「闇」であっても「夜」ではない、「靴音」の〈乾いた響き〉、〈灰色〉の靴音を聞いた時に、初めてそこに「夜」が生まれる。自分にとっての「夜」が始まる・・・つまりは、ひとりの靴音が闇に響く、その空間を意識した時に、初めて「夜」の実感を得る、ということなのだと思いました。〈蹲るようなわたし〉の影には、〈しずかさ〉はない。それは、言葉にならない叫び、声にならない叫びを、その影が発しているから、に他ならない。 ・・・と、そこまでは寄り添って読み進めていくことができたのですが・・・ わたしが影のなかに 街路灯のひかりを見つけたとき その距離の間に やがて しずかさは生まれる 一番、大事な部分、だと思うのですが、この部分が、なんとも把握しにくかったです。それまでの連と形を揃えよう、リズムを揃えよう、としたからではないのか?という気もするのですが・・・ 影、を照らす街路灯、影、を見守る灯の存在に気が付いて・・・蹲る私(の影)が静かに立ち上がったのではないか(もちろん、観ている私、が、そこから立ち上がる、わけですが)そして、光に見守られている、包まれている、という実感を伴いながら(そのことに静けさと安堵を感じながら)ぶらんこの方に歩んで行って(影を静かに引き連れて行って)ひとりで(光に優しく包まれながら)ブランコをゆすっている。背後に、都市の息吹を感じ、威圧されそうな(集団vs孤の関係性ですね)気配も感じつつ、その威圧に対抗するように、耐えるように、街路灯に照らされながら、ひとり、ぶらんこを漕いでいる。 そんな情景を思い描きました。 夜が生まれる、その断定は腑に落ちたのですが、〈しずかさは生まれる〉この部分に関しては、形のリフレイン的な要素に引きずられる感もあり・・・情景の中で感じたことを、もう少し文章の形を崩して歌うことで(情景描写というのか、心情描写によって)表しえたのではないか、そんな気がしました。 宣井 さんの感じられたこと・・・「しずかさ」や「距離」という言葉の難しさ・・・と、同じところに疑問を感じた、ということでしょうか。
0視覚敵→視覚的 しつれいしました。
0こんにちは。まりもさん、 とても、細部にわたり、丁寧な、ご批評ありがとうございます。 「しずかさ」というのは、 僕が感じたのは、「静か」とは、違う、緊迫感のある、都会という圧倒的なもの中での 一瞬訪れるであろう、安堵感のようなものの発見が「しずか」だったのですが自分では、納得しても、読み手に渡った時、混乱させるようでは、 やはり、まずかったかなと思いました。 四連目は、「距離」「しずか」という語彙が、 少し、観念的になっているかもしれません。 やはり、ここだけ難解になってますね。 詩の構成の厳密さは、副次的にできてきたのですが、 主眼は、詩の内容の緊迫感をある種の閉塞感だそうとしたのです。 都市生活者として持つであろうものですが ビルビルばかりの圧倒的な都会の中での 自分が都会に対抗する、内面で意識する真の安堵感のある「夜」と「しずかさ」の詩なのですが「街」も決して、対抗するものではない、という詩でも、あります 「靴音」を聞いたとき、単に夜でない、安堵した「夜」があらわれ、 「影」は単なる影ですが、「影」が街路灯の光によって、できているいう発見をしたとき、 安堵感のある「しずかさ」を始めて見出しているのです。 アウフヘーベンみたいな感じです。 アウフヘーベンみたいなものが「距離」感なのです。 でも、その「夜」「しずかさ」も都会の威圧があるから成り立つのであって、 また威圧するものも、アウフヘーベンみたいにすれば、「しずか」の発見があり その意味で、「夜をつくり そして しずかである」のです。 そういう、心の動きを詩にしたのでした。 それから、 街路灯に照らされた「影」あるいは「街」がなぜ、「しずか」なのか、と問われれば、 僕がそう感じたのであり、そうじゃないと言われれば、身も蓋もなくなる 危うい詩を書く上での主観的な表現にすぎません。 緊迫感を出すために、観念的になって,難解になったところは、 まだまだ、だと思いました。 とても勉強になりました、ありがとうございました。
0前田ふむふむさん こんばんわ すごくいい詩ですね。 色々考えてらっしゃる事がコメントから伝わりましたが、このままでも十分好きです。 やはり惹かれたのは、1節目。夜へのこだわりがコンセプトと感じました。世の中で注目されてないけど、自分だけはものすごく惹かれるものって、とても大事なものですよね。 なぜそれに惹かれるのか、というのは自分を知るために大事なことのような気がします。 僕も自分の好きなものを、こんな風に書けたらいいなぁ。
0はねひつじさん、こんにちは。 遅くなり、すみませんでした。 ご批評ありがとうございます。 「すごくいい詩ですね。」、もう嬉しすぎてしまいます。^^ そう惹かれる気持ちって、大事ですよね。 僕も、大事にしたいと、思っています。 ありがとうございました。
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